ためらい

　甘いドリンクを注文すると、
「半年ぶりですね。お元気でしたか？」
　目の前の若い男性に尋ねられ、あの時と同じ人であることに気づく。
「よく覚えててくれましたね。ここに来るの、確かに半年ぶりです」
「覚えていたのは職業柄で⋯⋯いや、それだけじゃないんですけどね。あれから、どうしてたんですか？」
「冬眠ですね。寒いのが苦手だから」
「僕も、寒いのはダメですよ。でも、これからはいい季節ですね」

　カフェを出ると、新しい眼鏡を受け取り、また書店内を数時間物色していた。
「あれ？また会いましたね！」
　そんな声に振り向くと、さっきのカフェの男性が書店に来ていた。
「あら、もうお仕事は終わり？」
「ええ。今日は早番なんです。それより、気になったことがあって⋯⋯」
「何かしら」
「もしかして、湘南ナンバーの車に乗ってますか？サーフボードを載せたやつ」