ためらい

 両親も、もう年老いていたので、養ってもらうわけにもいかず、コネで地元の百貨店に再就職。
 しかし、やはりセクハラ、パワハラはそこでも酷く、辞めたいと言えば、親戚は、また怒り狂う。
 そんなストレスフルな生活は、顔にも出ていたらしい。
「なんか、表情が怖いよ⋯⋯」
 そう言われることが増え、自分でも、ずいぶん険しい顔になったものだと感じていた。

 以前から、雲行きが怪しいとは言われていたが、勤務先の百貨店は潰れ、私は再び失業。しかし、本当は安堵していたのだ。

 退職後は、両親の介護をして過ごし、両親を見送った後は、実家を壊して月極駐車場にした。
 それが、今の収入になっている。

 ストレスになる人間関係は全て断ちたくて、誰にも行先を告げず、縁もゆかりもない仙台に引っ越してきたのだ。