ためらい

　私は、思わず脱力してしまう。
「それより、ここに来てくれたってことは⋯⋯」
「あ！それなんだけど⋯⋯結婚の話となると、どうしても躊躇ってしまうの⋯⋯」
　正直な気持ちを伝えた。
「やっぱり、俺じゃダメだった？」
「違うの！あなたが好きだし、別れたくない。でも、いくら若作りして奔放に暮らしてるように見えても、中身はもう、分別のついた中年なのよ。分別がついてしまうと結婚できなくなるって聞いたことがあるけど、まさにそれね」
「年の差を気にしてるの？」
「それもあるわ。だって、４０代と２０代よ？逆に考えてみて。あなたよりひとまわり下は１０代でしょ？犯罪⋯⋯」
「でも、俺たちはもういい大人だよ。それに、２０代って言っても、今月で３０になるから、今よりも差は感じなくなるんじゃないかな」
「そうだけど⋯⋯」
「ひとつ、聞きたいことがあるんだ」
「何？」