ためらい

 そうは言ったものの、七夕まで、もう二週間もない。

 男にとって、29歳という年齢はどんなものなのだろう。女だったら、結婚を焦る年齢かもしれないが、私の場合、もともと結婚願望がなかったから、29歳であろうと何も思わなかった。
 それこそ、本気の恋愛もせず、蜜月が終わると同時に、別れを告げるか、フェードアウトするような冷たい女。

 星夜とも、そんな風に終わらせるつもりだった。
 それなのに、今の状況は完全に計算違い。
 過去の男たちに関しては、無理に気持ちにブレーキをかけたこともなかったが、星夜の時だけは、必死でブレーキをかけ続けてきた。

 しかし、結婚となれば、やはり躊躇ってしまう。
 星夜の両親がまだ若く健在なのに対して、私はもう両親も亡く、現実問題では何かと不利な立場。

 ただ、ひとつだけ、確実に言えることがある。
 結婚云々は別として、星夜と別れたくない。