「あ!?やっと出てきたぞ!」
「馬鹿!声が大きい!」
「フッチーあいつだよ!」
「あのババアだよ、ルノア。」
そんな声が聞こえたが、
(知らないふり、知らないふり!)
師範の言葉を呪文に、気づいてないふりをしてレジに向かう。
そして、レジで会計を済ませる。
「ごちうさま♪」
「美味しかったです・・・。」
「ありがとうございましたー♪」
船越師範が前を歩き、私がその後について行く。
ドアのガラスに、会計レジがうつる。
そこに渕上達が立っているのが確認できた。
(・・・・・なんでついてくるの?)
私の家を知ってるはずの渕上の行動が読めない。
外に出れば、冷たい風が全身にあたる。
「寒い・・・!」
思わずつぶやけば、クラスメート達がサッと物陰に一斉に隠れた。
(うわ・・・ガキでもわかる隠れ方だな。わかりやすい馬鹿共だぜ・・・!)
「ドン引きだ・・・。」
「ひくねー!」
私のつぶやきが聞こえたのか、船越師範が叫んだ。
「これ、風邪ひくから走るよー!!」
ガシ!
「は?」
そう言うなり船越師範は、私へと向き直って体に触れ、
ヒョイ!
「はあ!?」
私をお姫様抱っこし、
「ヘイ!!カモ―――――――――――――ン!!!」
ギュルルルルルル!!
キキ――――――――――!!
「うわ!?」
「きゃあ!?」
「ひー!?ひかれる!!」
(えっ!?)
片腕上げて、私を横抱きにする船越師範の目の前に、どこでもありそうな車が急停車。
バン!!
「「師範!乗って下さい!!」」
後部座席がスライドしながら開く。
「ごくろー!!」
「ええ!?」
そこへ、老女とは思えない身軽さと素早さと力強さで、私をお姫様抱っこしながら、船越師範が飛び乗った。
(この人達は――――――――――!?)
バン!!
認識した瞬間、後部座席のドアが閉まり、車は急発進。
ブロロロロロロロ――――――――――!!
「ま、待てー!!!」
「待ちやがれ、ゴミ原――――――!!」
そんな声が外からしたかもしれないが、気づけば車道を爆走していた。


