彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「後藤先生、お忙しいところをすみません。菅原です。」
〈もしかして、なにかあったの?〉
「は、はい!いじめの相談を――――――――空・・・おけいこの先生に相談したら、後藤先生とお話ししたいと仰って・・・」
〈そうだったのね。いいわ、かわってちょうだい。〉
「いいのですか?試験の採点でお忙しいのでは――――――?」

〈生徒の命の方が大事よ。〉



命・・・。





(つまり私・・・・・第三者から見ると、命の危機にさらされてるってこと?)





呆然としていたら、手からスマホがすり抜けた。





「あ。」
「もしもし、お電話代わりました。菅原凛さんのおけいこをつけていた船越春と申します。」
「あ、あの・・・。」
「今回、凛から、凛が渕上ルノア達にいじめられてると聞きまして、物申すお手伝いをしたくて、後藤先生にコンタクトを取らせて頂きました。はい、はい、もちろん、連絡先、交換しましょうね。」
「あの・・・。」





被害者そっちのけで進む話。





(この流れで行くと・・・他力本願、人任せになってしまうけどいいのだろうか・・・・?)





私がこれまでの人生で、頼ってきたのは真田瑞希とその仲間達だけ。
信じているのは真田瑞希様だけ。
だけどそれは、『凛道蓮』の場合の話。





(『菅原凛』の時、頼れる人、いたかな・・・・・・?)





何かが大きく変わる予感がした。
今さらながら覚える喉の渇きに、お冷を一気飲みしたのだった。