彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






宿題を見せていただけで、彼氏に色目を使ったという理由でいじめが始まったこと。
信じていた友達にも裏切られたこと。





「お待たせいたしました。日替わりケーキセットです。」





話している途中で、ケーキセットが運ばれてきて、静かに目の前に置かれた。
その時だけは、女性店員へ感謝の言葉を述べれば、何故か女性店員は私の頭をなでて立ち去ってくれた。




「・・・?」




不思議に思っていれば、船越師範からハンカチが差し出される。




「あ・・・。」




それで自分が泣いているのだと気づく。
気づいた瞬間、口調がじょう舌になった。
マシンガントークになった。
両親はいじめっ子と仲良くなることに必死で、いじめの話ができないこと。
いじめが原因で入院もしたこと。
さらにはレイプ未遂にもあったのに、学校の先生たちも、警察官さえも渕上ルノアの味方だったことを――――――――――『凛道蓮』のことは隠して話した。





「・・・ということで、今現在私を尾行して盗撮しているのは、渕上ルノアの指示によるプランGだと思うのです。」





そこまで話したところで、両頬を濡らす涙をハンカチでぬぐった。

そんな私に船越師範は―――――――――





「よく今まで頑張ったね。」





席を移動し、私の隣に腰かけながら、抱き寄せてくれた。





「凛は辛抱強いからね。今まで本当によく耐えたね。偉いよ。」
「船越師範、そんな、私は、そんな――――――――」
「十分ここまで頑張ったから、もう頑張らなくてもいい。私から、凛の両親に説明するよ。」
「あの、お気持ちはありがたいですが、私は道場をやめています。だから両親も、船越師範のおっしゃることを――――――」
「変な気を使わないでおくれ。私が凛の両親に嫌われていることは知ってるよ。」

「え!?」

(やっぱり気づいてたんだ・・・・・)





元々、勉強第一主義の両親にとって、スポーツとはいえ、空手を・・・それも男子と一緒に組み手をすることを、快く思っていなかった。