「学校、もう終わったの?」
「はい。今日から期末テストなのです。」
「これから家に帰る予定?」
「え!?えーと・・・友達の家で勉強会をしようと・・・」
「親御さんにはそう言ってごまかして、図書館あたりで勉強する気でしょう?」
「えっ!?」
(あいかわらず、中途半端に鋭いな・・・・)
昔から、船越師範に嘘は通じなかった。
だから――――――
「あれからどう?初恋のお兄ちゃんは見つかった?」
「・・・それは・・・。」
家出して出会った瑞希お兄ちゃんを探すため、空手を始めたことも全部話していた。
(とはいえ、会えたとは言うわけにはいかない。全力で誤魔化そう!!)
「さ・・・探しながら、勉強を続けています。」
「・・・そう。」
笑顔で言えば、少し顔を傾けた後で、私の顔を覗き込みながらささやいた。
「・・・そのまま、笑顔を作りなさい。適度な感覚で、首を縦に振ってうなずいてちょうだい。」
「へ?」
「いいからうなずいて!」
「は、はい!」
ニコーと作り笑いをし、コクコクうなずく。
「それでいいわ。」
「どうしたのですか?」
笑顔をキープしたまま、首を時折盾に動かしながら聞く。
すると、船越師範は笑顔で告げる。
「あなた、あゆみが丘学園のカースト1軍らしい子達に、ずっと盗撮されながら尾行されてるわよ。」
「えっ!?」
それで笑顔が崩れそうになったが、手に口を当てて誤魔化した。
「と、盗撮に、尾行、ですか?」
「そうよ。写真撮ったから、確認して。」
「はい・・・。」
スマホ画面を見せられ、のぞき込む。


