彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




「学校、もう終わったの?」
「はい。今日から期末テストなのです。」
「これから家に帰る予定?」
「え!?えーと・・・友達の家で勉強会をしようと・・・」
「親御さんにはそう言ってごまかして、図書館あたりで勉強する気でしょう?」

「えっ!?」

(あいかわらず、中途半端に鋭いな・・・・)

昔から、船越師範に嘘は通じなかった。

だから――――――





「あれからどう?初恋のお兄ちゃんは見つかった?」
「・・・それは・・・。」





家出して出会った瑞希お兄ちゃんを探すため、空手を始めたことも全部話していた。





(とはいえ、会えたとは言うわけにはいかない。全力で誤魔化そう!!)


「さ・・・探しながら、勉強を続けています。」
「・・・そう。」





笑顔で言えば、少し顔を傾けた後で、私の顔を覗き込みながらささやいた。




「・・・そのまま、笑顔を作りなさい。適度な感覚で、首を縦に振ってうなずいてちょうだい。」
「へ?」
「いいからうなずいて!」
「は、はい!」




ニコーと作り笑いをし、コクコクうなずく。




「それでいいわ。」
「どうしたのですか?」




笑顔をキープしたまま、首を時折盾に動かしながら聞く。
すると、船越師範は笑顔で告げる。





「あなた、あゆみが丘学園のカースト1軍らしい子達に、ずっと盗撮されながら尾行されてるわよ。」
「えっ!?」





それで笑顔が崩れそうになったが、手に口を当てて誤魔化した。




「と、盗撮に、尾行、ですか?」
「そうよ。写真撮ったから、確認して。」
「はい・・・。」





スマホ画面を見せられ、のぞき込む。