(やっと、『菅原凛』から解放される・・・・・!!)
私は表向き、優等生で勉強のできる地味な女子高生・菅原凛として生きている。
でも、家族はもちろん、学校の誰にも言えない秘密がある。
その秘密こそ、私が『両立させたい』ことである。
「うははは!凛!凛!りーん!今日は時間あるさかい、ココア入れたから、変身終了後に飲みー!」
服を身につけ終わったタイミングで言われたので、和室の電気を消して出ながら返事をした。
「ありがとう、頂くよ。」
「うははは!どーいたしまして!なんや!今日もいい男ぶりやんか~!?どこからどう見ても、男子にしか見えんで、凛道蓮―♪」
「男らしいと言われると安心します。」
そう、私の秘密とは、偽名で男装して、男のふりをしていること。
それも、最強暴走族、龍星軍の4代目総長・凛道蓮が私のもう1つの姿なのだ。
「ヤマト、ココアをありがとうございます。」
「うははは!えーねん!えーねん!管理人はんからのもらいものやねん!お高いメーカーのココアやから美味いでぇ~!?」
ちなみに、私に変身場所と温かいココアを提供してくれているのは、私が菅原凛と凛道蓮を両立している秘密を知る1人で、大親友の五十嵐(ごじゅうあらし)ヤマトだ。
彼とは同じ高校に通っているけど、高校ではお互い、知らないふりをしている。
ヤマトは高校進学と同時に、関西から転校してきた熱烈な阪神タイガースファン。
しゃべる声もでかければ、身体も2メートル近い長身という大きな男子。
カチューシャを頭にはめ、サングラスを常に身に着けている。
性格は陽気でマイペースで、いざとなったら頼りになる怪力の持ち主。
彼女募集中だけど、好みがブス専で、カチューシャにサングラスの姿と、明石家さんまさん以上にうるさくしゃべることもあって女子にはモテないらしい。
改善点があるとすれば、サングラスを外して、素顔をさらしてしまえば、1日でヤマトが望むハーレムが出来ると私は思っている。
なぜなら、素顔のヤマトはモデル級のイケメンだからだ。
龍星軍のメンバーでもあるヤマトは、13代目特攻隊長として私を、凛道蓮を支えてくれている。
無くてはならない大事な男友達、大親友なのだ。


