彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






(よしよし・・・お母さんもお父さんも、自分の部屋に戻ってるな・・・♪あばよ、ハズレ親♪)





上手に抜け出し、夜道を走る。
毎夜、こうやって家から抜け出している。
時には、学校から帰宅し、友達の家に外泊して勉強会をすると言って抜け出している。
すべては、【目的地】にたどり着くため。
小学2年生で5年生の勉強を覚え、3年生で6年生の勉強を覚え、4年生で中学1年生の勉強を覚え、5年生で中学2年生の勉強を覚え、6年生で中学3年生の勉強を覚え、中学1年生で高校1年生の勉強を覚え、中学2年生で高校2年生の勉強を覚え、中学3年生で高校3年生の勉強と受験勉強をした。
おかげで、高校1年生の現在は、高校1年生~3年生の勉強をおさらいしている真っ只中。
過去に覚えた勉強をし直すだけなので、勉強面で楽が出来ているというわけだ。
それでも両親はまだ足りない!!と考えており、私に塾を勧めてくる。
私を政治家にでもするつもりなのだろうかと、時々思ってしまう。





(勉強面では得したかもしれないけど・・・・・そのために私が犠牲にしてきたもの、たくさんあるんだろうな・・・・・・。)





そんなことを思い返しているうちに、【中間地点】である高級マンションに到着した。
エレベターに乗り、下りる会のボタンを押して、一息つく。
ここの監視カメラはいつも壊れているので、私が着たという記録が残らないのがとてもいい。
エレベターが目的の買いで止まって開く。
足早に下りて、目当ての部屋の呼び鈴を推してから、合いかぎで中に入った。





「こんばんは。」
「うははは!おこんばんはー!凛!!」





あいさつしながら室内に入れば、虎ガラのジャージ姿の長身の男子が出迎えてくれた。





「うははは!いつもより早いのぉー!?おとんとおかん、デートにでも出かけたんかい!?」
「まさか!つーか、変わらずケンカばっかりですよ。ホント、デートにでも出かけて、早く家から出てくれれば、こっちも動きやすいんですけどね。」
「うははは!自分の両親、カルシウム足りてへんのとちゃうかー!?それよりも、外、寒かったやろう~!?なんか飲むか!?」
「いや、先に着替えるわ。いつ、だれが訪ねてくるかわからねぇからな。」
「うははは!その通りや!!はよう、変身しーや♪」
「そうする。」





そう答え、部屋の中の和室に入って電気をつける。
着ている服を脱いで、置きっぱなしにしている服を手に取る。