勉強が嫌で、泣きわめいてもみたけど、現実は何も変わらない。
例えば英語など、覚えるのに苦戦する私に、家庭教師を何人もつけては、いかに私がダメ人間なのか言ってきた。
ダメじゃないと証明するために語学を身に着けた。
友達と遊んだ記憶もほとんどない。
学校での私の立ち位置は、勉強ができる子・勉強を教えてくれる子だったので、いじめられることも、カースト順位も低くなくて済んだ。
ただし、毎年学級委員に選ばれるのはイヤだった。
両親に、勉強で褒められたいから頑張るというスタイルは、小学校までだった。
100点を取れて当たり前。
習ってることを覚えるのだから、100点を取れない方がおかしい。
休まず授業を受けていれば、100点しか取れないはず。
それなのになぜ、98点しかあなたは取れなかったのか?と、責められた結果、円形脱毛症に・・・頭の一部がハゲてしまった。
これで学校から指導が入り、世間体を気にする両親は、90点以上取れれば何も言わないと私に一方的に通告してきた。
同時に、小学1年生の私に、2年~4年生の勉強を・・・3学年分、先取りで勉強する学習方法を取り入れてきた。
中学からは、覚える量が増えたという理由で、2学年分の先取りに減らせてもらえた。
その合間で瑞希お兄ちゃんを探しながら、空手道場に通うのは過酷だった。
でも、先取りする勉強方法をしたおかげで、中学時代はもちろん、高校になってから、余裕を持って勉強ができる。
心置きなく、『両立ができる』のだ。
「ごちそうさま・・・と。」
食事の終わりのあいさつをして、部屋の外に空になったお皿を出す。
自室のカギをかけると、隠していた靴を取り出し、フード付きのコートを着て、窓を開ける。
そして、『いつも通り』、窓から家の外へとダイブする。


