彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「みな様、大変ご迷惑をおかけしました!!お詫びとして、この場にいるみな様のみに、本日から使えるメニューのドリンクがどれでも1杯無料になるチケットをお配り致します!!無論、本日からもご利用できますので、それでご容赦ください!!」
「え!?今日から使える無料券!?」
「しかも、値段に関係なしに使えるの!?」
「今日奮発して高いコーヒー頼んだから、今日使おう♪」
「私はいつものコーヒー頼んだから、前から飲みたかった高いコーヒー飲むために次で使うわー♪」
「マジ財布に優しい神対応♪」
「物価上昇で節約のために安いコーヒーを頼んだから、次回で使おうっと♪」





瑞希お兄ちゃんの対応で、表情をこわばらせていたお客さん達が次々に笑顔になる。
場の空気が少し落ち着く。





「ちょっと!チョコちゃん、チョコちゃん!」





ホッとしていたら、名前を呼ばれる。





「美弥子さん?」





常連のお姉さんだった。





「さっきの男子、チョコちゃんにタイマンとか言ってたけど――――――決闘する気じゃないでしょうね!?」
「え!?あ!?」

(マズイ!誤魔化さなきゃ!!)

「しません!しません!しませんよ!さっきの人が、向こうが勝手にそう言ってきてるだけなんです!断ってるのに、しつこいのですよ!!」





両手と首を横にふりながら訴える。
これに美弥子さんは、疑い深く聞いてくる。