「信じられない!ノートを盗ませた犯人が渕上さんだったばかりか、燃えて内容がわからなくなっているのをいいことに、ノートには渕上さんがいじめられた内容を記したものだったなんて嘘をつくなんて―――――――最低だわ!」
「渕上ルノアさんが最低なのは、今に始まった事じゃありません。」
「なんだか逆に怖いわ・・・自分より年下の子達が、そんな恐ろしいことを思いついて実行してるなんて・・・」
「・・・悪いことするのに、年は関係ないかもしれませんね。」
そうだとしても、あれだけの悪事を思いつけるのは、違った意味ですごいことだと思う。
それだけ、道徳心が育っていないサイコパスなのだろう。
「菅原さん、あなたのこと、ますます心配になったわ。」
「後藤先生・・・。」
「菅原さんさえよければ、今いる滞在先と家主さんのこと、先生に教えてくれないかな?」
「あ、そのことでしたら――――――――」
もちろん、後藤先生になら教えられる。
そう思って口を開こうとしたら――――――
―凛たん。―
「え?」
「菅原さん?」
(今、烈司さんの声がした・・・?)
辺りを見渡すが、それらしい人物もいなければ、上品なタバコの香りもしない。
(・・・?気のせいだったかな?)
どうして烈司さんの声が聞こえたんだろう?
(そこは普通、瑞希お兄ちゃんの声でしょう?)
おかしいなーと思いながらも、シゲ先生の家で、2人きりになった昨夜のことを思い出す。
(なんだか最近の瑞希お兄ちゃん、ますます優しくなったんだよね~)
シゲ先生の家であいびきできるなんて思わなかった♪
(とはいえ、しばらくシゲ先生のお家でお世話になる以上、船越師範の訪問には神経使わないといけないなー)
なんだかんだ言って、船越師範は面倒見がいい。
いじめの件、両親との絶縁の件を心配して、今まで以上に愛弟子に関わってくるかもしれない。
(その時に、シゲ先生と凛道蓮が知り合いであることを隠し通さなくちゃ!)
そこまで考えてハッとする。


