「こ、こ、この、ゴミ原ぁ!!よ、よくも殴りやがったな!?」
「誤解ですよ、中山君。」
怒鳴る相手に、私は静かに伝えた。
「中山君の顔の虫をつぶそうとしただけです。」
「はあ!?」
「残念ですが、逃げられてしまいました。」
「し・・・・白々しいウソつくんじゃねぇーよ!?どこに虫がいるってんだ!?みんな見えるか!?」
「見えねぇよ!!」
「どこにも飛んでない!」
「ウソつくなよ、ゴミ原!」
「ウソじゃないです。」
ギャーギャー騒ぐ男子に、静かなトーンで伝えた。
「いじめっ子には、見えない虫です・・・・・!」
目を細めながら言えば、中山が、騒いでいた男子達が黙る。
化け物でも見る目で私を見るが、関係ない。
オープンになっているカバンから、ビニール袋を手に取ると、1枚だけ出して広げる。
そして、壊れたタブレットの側にしゃがんで、その残骸を拾い集め、袋へと入れていく作業に移る。
静まり返る教室。
いつもと違う菅原凛を、全員が見ているのがわかったが、会えて無視して片づけを続けた。
「生意気じゃん。」
静寂を破ったのは、けだるそうな声。
誰が言ったのか、見なくてもわかっていた。
だから、声の主を見ることなく片づけを続けていたら言われた。
「中山に謝れよ、ゴミ原。」
「ルノアちゃん!」
その言葉で、中山をはじめとした男子達が渕上ルノアの方へ移動する。
「あんたの耳、飾りなの?中山に土下座して謝れよ。」
「漢字読めないの、渕上ルノアさん?菅原をゴミ原って読むなんて、お母様のミテコさんって、思った以上に無能ね。」
「ひ!?ゴミ原お前!?」
「テ、テメー!?フッチーにまで逆らうのか!?」
「ルノアママの悪口まで言いやがって!!正気かよ!?」
中山が軽く叫び、難波と鳥海が非難の声を上げる。
いくら言われても私には―――――――――
「私にはもう、なにも失う物がない。」
現実を伝えれば、教室がザワザワし始める。
「つまり、開き直りかよ、菅原凛。」
タブレットの残骸をきれいに回収し終わった時、渕上がそう判断してきた。
開き直ってるつもりはないが、第三者から見ればそうなのかもしれない。
少なくとも、いじめを我慢するつもりがなくなったのは間違いないだろう。


