無事、1限目のテストを終え、答案用紙を井谷に渡す。
すべての問題が埋められている私の答案を見て、あからさまに舌打ちをする。
「今日は1日再テストだからね!教室に、戻りたかったら戻ってよ!」
「!?わかりました。」
そう言われて、置いてきた荷物のことを思い出す。
タブレットぐらいしか入ってないが、壊されていたらたまったもんじゃない。
(タブレットは、簡単に買えるものじゃないからな・・・)
ましてや現在、両親からの金銭的な支援は望めない。
(壊されてないといいんだけど―――――――!)
そんな思いで、教室に入った瞬間だった。
「あー!!手が滑った!!」
「!?」
(中山!?)
声の人物を認識した時、その目に飛び込んできたのは―――――――
(私のタブレット!!)
私の机の上に私のカバンが置かれ、中身が全部出されていたばかりか、両親がしっかり勉強できるようにと買ってくれたお高い最新機種を、中山が大きく振りかぶっている姿だった。
「やめ―――――――――――!!」
ガッシャーン!!
やめてと言い切る前に、中山は思いっきり、私のタブレットを床にたたきつけた。
「タブレッドが!!」
手遅れとわかっていたが、タブレットの側に駆け寄る。
それは画面が割れているのはもちろん、まっ平らな形がへしゃげて変形していた。
「わりぃーわりぃー!手が滑っちまった♪」
まったく悪びれた様子もなく言う中山。
その姿を見ていたら、
(菅原凛に失うものは何もない。)
という言葉がよみがえった。


