「後藤先生。」
「あ!?後藤先生!?」
「あんた、あの時の教師!?」
「そうです。」
(そういえば・・・後藤先生と、こいつらは面識があるんだったな・・・)
そう気づいたと同時に、全力で精子と卵子の手を振り払う。
バシ!
「痛!?」
バシ!
「いてぇ!?」
そしてそのまま、後藤先生のところまで行き、彼女の後ろに隠れた。
「「凛!!」」
「お静かに!!ここは、通学路ですよ?」
後藤先生の言葉通り、こちらの様子をチラチラ見ながら、通り過ぎていく歩みが丘学園の生徒が多数いた。
それに気づいた精子と卵子は、ばつが悪そうにした後で、次の言葉を発した。
「凛、場所を変えて話すぞ!」
「学校には遅刻すると連絡するから!来なさい、凛!」
「イヤです。」
「「凛!?」」
驚く精子と卵子に、私は低い声で告げる。
「私を信じてないってことは、私のこと大嫌いなんでしょう?幸い、私もあなた達2人のことが大嫌いなので、一緒にいない方がいいと思います。」
「凛お前!?誰が学費を払ってやってると思ってるんだ!?」
「親に養ってもらってる分際で、言うことが生意気よ!?」
「いいえ、菅原さんは生意気ではありません。」
「はあ!?・・・後藤先生だっけ!?なに言い出すんだ、あんた!」
「人の家庭事情に口出ししないで下さい!」
「お断りします。」
「「なっ!?」」
「子供を作った以上、その子供が成人するまで養育するのが親の義務です。あなた方が、菅原凛さんの学費を払うのは当たり前です。」
「じゃあ生活費は!?」
「どうせ、船越のところに凛はいるんだろう!?あんなばあさんに、凛の生活費を渡すなんて御免だからな!!」
「そんなもんいらないよ!私が自腹を切るからね!!」
「「え!?」」
「船越師範!?」
そう言って、私の背後から船越師範が現れた。


