彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




部屋中に破壊音が響き渡る。



「ちくしょう!!」



テーブルに飾ってあるガラスの置物を床にたたきつける。



ガッシャーン!



それはあっけなく砕け散り、粉々のガラスの砂へと変わる。





「そんなに昨日の試合が気に入らなかったのか?」
「最悪よっ!!」





そう答えて、万単位のする灰皿を壁に投げつけた。



メキ!



高いだけあって、簡単には壊れなかった。
しかし、木製の壁に凹みが出来る。
その前まで、ドスドスと足音を立てながら行くと、側にある鑑賞用の植木鉢をつかむ。





「凛道蓮――――――――――!!」

バギ!!パキーン!!

ドサドサドサ!!





鉢の部分を壁に叩きつければ、鉢に亀裂が入って割れる。
中に入っている土が床に広がる。
灰皿で凹んでいた部分が、鉢を叩きつけられことにより、さらに大きく深く凹んだ。





「くそ!!」





それでも怒りは収まらず、ソファーに置いてあった高価なクッションを引き裂いた。





「ジャック・フロストがぁ―――――――――――!!」

ビリビリビリ!





生地を引きちぎったことで、中の羽毛が舞う。
肩で息をしながら、周りを待っている気を見ていたら言われた。





「小悪魔が悪魔になってるぞ。」





相手は―――――――――――私の今の本星が、楽しそうにほほ笑む。





「・・・ありがとう。小悪魔から悪魔に、昇格して呼んでくれるのね?」
「俺はどっちのアキナも好きだぞ?ひどく蠱惑的(こわくてき)だ。」





そう言いながら近づくと、私を引き寄せてソファーに押し倒す。





「アキナ、凛道蓮を殺す楽しみが伸びたと思え。延長戦はもつれ込むほど、ややこしくなって面白いぞ。一思いにとどめを刺すよりいいだろう?」
「そうね・・・楽になんて、逝かせてあげない・・・・!!」





そう告げて、相手の――――――男の唇に食らいつく。
彼は慣れた様子で私の口を吸うと、快楽を与え始める。





(陽翔・・・・・・!!)





すぐだから。
もうすぐだから。
もうすぐ、凛道蓮をそっちに送ってあげるから。





(だからもう少しだけ、私の火遊びを許してね―――――――?)





心は唯一愛した男のことを考えながら、身体は何の感情も持たない権力者へと捧げた。











~悪女が花を添える!?漢同士のマジタイマン!!~後編~完~