「凛道、これだけは言わせてもらう。」
踏みにじったタバコの火が消えたところで、円城寺君は言った。
「凛道蓮、オメーは俺の人生で唯一のライバルだ。チャンスがあれば、必ず勝負をする。必ずオメーに勝つ・・・!」
「・・・わかった。肝に銘じておこう。」
見開いた眼を閉じて、ニッコリ笑いかければ舌打ちされた。
「瑞希さんには、俺が来たこと言うなよ!!」
「わかってますよ。」
(エンジン音でバレると思うんだけどな・・・。)
そう言ったらいったで、面倒になりそうなので言葉を飲み込む。
ドゥルルルル!!
「近いうちに集会しろよテメー!!」
ドゥルルル、ドゥルルルル!!
吐き捨てるように言うと、爆音を立てながら走り去っていった。
「・・・集会か・・・。」
(面倒くさいな・・・瑞希お兄ちゃんが参加するわけでもないのに、しなくちゃいけないなんて苦行だよね。)
「よかったな、凛!大河の奴、オメーの子と認めたぞ♪」
「うわ!?み、瑞希お兄ちゃん!?」
ぼんやりと、不届きなことを考えていれば声をかけられる。
相手は、室内にいるはずの好きな人。
「ど、どうしてここに!?」
「いや、窓から大河が、我が家を見てるの見えたからよぉ~いつ、凛にコンタクトをとるのか見てたんだ。」
「結構前から見てたんですね!?」
〔★あなどれなかった★〕
「大河も素直になったもんだぜ♪」
「そ、そうですか・・・。」
「そうだぜ。あいつ、天邪鬼なところあるからな~」
そんな話をしながら、届いた封書を持って裏口から家の中に帰る私と瑞希お兄ちゃん。
「ところで凛。」
「なんですか、瑞希お兄ちゃん?」
「困ってることないか?」
「困ってること、ですか?」
「おう!凛が俺と暮らす以上、何不自由なく育ててやりたい。困ってることはないか?」
「そうですね・・・特に思いつかないのですが・・・。」
「あ!?そういえば!」
考える私の側で、瑞希お兄ちゃんは仰った。


