今夜も、『Felicita(フェリチータ)』は大繁盛だった。
「いらっしゃいませー♪」
「こんばんは、チョコちゃん。」
「こんばんは、美弥子さん!お1人ですか?」
「うん。今日は有給取ったからのんびり過ごしたのよ。外出の締めくくりに、ここのコーヒー飲もうと思ってね♪」
「わーい、いつもありがとうございます~♪こちらへどうぞ!」
「ありがとう♪」
「なににされます?」
「んーエスプレッソの気分かな?」
「では、エスプレッソで♪」
「よろしくね~♪」
「御意に♪」
「御意なんて、古風~♪」
「御意、御意♪」
「うふふふ♪」
「エへへ♪」
常連さんとも和気あいあいでき、順調な滑り出しだった。
『そいつ』が現れるまでは。
カランカラン♪
「いらっしゃいませ~♪」
「いらっしゃいましたぁ~♪」
そう言って店内に入ってきたのは背の高い、一目でハーフだとわかるイケメン。
着崩した制服の着方をしており、顔と腕にアクセサリーをたくさんつけていた。
(なんか、パリポ系の人がきたなぁ~)
こういう人の対応は、基本モニカちゃんがしている。
モニカちゃん曰く、「凛ちゃんを汚さないため!」だと。
そういう暗黙のルールと、距離が一番離れていることもあり、私は近づかなかった。
しかし――――――――――
「いらっしゃいませ、お客様。何名――――――?」
「いたいた!あれか!?おーい、チョコちゃーん!!」
「え?」
「ちょこちょこ、の、チョコちゃーん!!」
モニカちゃんを無視すると、大声で私を呼びながら、私の方へと近づいてくるハーフ。
その背後には、十数人の男子が続く。
大名行列みたいな団体さんに、店内のお客さんが騒然とする。
接客をしている獅子島さん達の表情が変わった。


