(私の事・・・子供として、愛していなかったのかもしれない・・・。)
私は両親にとっては、ただのアクセサリーだったのではないだろうか?
(世間から、周りから見て、自慢できる装飾品に、両親はしたかっただけじゃないだろうか・・・。)
「凛、シャワーで泡を流すぞ!」
「あ、はい!」
両親のことを回想していれば、明るい声で話しかけられる。
「お湯が熱かったり、ぬるすぎたりしたら言えよ?」
「はい・・・わかりました。」
瑞希お兄ちゃんのお優しいお言葉と気遣いで、両親のことが頭から消えていく。
そうよ。
私はもう、両親と暮らさなくていい。
両親の言いなりにならなくていい。
自分を押し殺して生活しなくていい。
(私を信用してくれない人達とは、縁を切ったんだ!これからは、毎日瑞希お兄ちゃんと一緒!!瑞希お兄ちゃんと暮らせる―――――――!!)
心があたたかくなる。
身体にかけられるお湯で、身体の方もぬくもりを感じる。
でも今は、お湯によるぬくもり以上に―――――――――
「凛、気持ちいいか?」
「はい・・・気持ちいいです。」
愛する人の優しさが、心に染みてあたたかい。
「凛、ちょっと確認してくれ!泡、全部落とせてるか??」
「あ、はい!全部落とせてます!」
「よし!じゃあ、前は自分で洗って湯船に入れ!俺、先に湯船に入るから。」
「えっ!?」
そう言いながら、目隠しを取ろうとしている瑞希お兄ちゃん。
(マズイ!!裸見られる!!)
止めようにも間に合わない!!
ザバン!!
「はあ!?」
「い、いいお湯ですねー!?」
間一髪!!
瑞希お兄ちゃんが目隠しを取る前に、乳白色の湯船に飛び込んだ私。
これに瑞希お兄ちゃんは、けげんな顔をする。
「凛!ちゃんと、前も洗わなきゃダメだろう?」
「あ、洗いましたよぉ~瑞希お兄ちゃんが背中を洗ってる時に♪」
「ウソつけ!たく、自分で洗うのが面倒になったのかぁー??」
「いえ、キレイなのでご安心ください!!」
「はあ~・・・もういいわ。前、あらってやるからちょっと出て来い!」
「はああ!?なんでそうなります!?」
「洗うのが面倒だからサボるんだろう?ほら、出て来いよ。」
そう言いながら、私へと手を伸ばしてくる好きな人。


