彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「・・・・・・決めた。これからは毎日、鍛錬しよう・・・・・・。」





そう鏡の中の自分に告げると、浴室へと足を踏み入れた。
シャワーをひねって、頭から温かいお湯をかぶった。
身体がぬくもりを取り戻すにつれ、動くのが面倒になってしまった。
だからそのまま、湯気が立っている湯船に入った。





「きもちいい・・・。」





そうつぶやき、口元までお湯につかる。





(・・・・・つかれたな・・・・・・)

つかれた。

もう指一本動かせない。

入浴剤を入れる力もない。

いろんなことがあり過ぎて、つかれてしまった。

学校のこと。

両親のこと。

いじめのこと。

タイマンのこと。

けっきょく、バトルロワイヤルになったこと。

円城寺君との今後のこと。





(円城寺君・・・。)





結果的に、私が勝ってしまった。

怒りっぽい円城寺君のことだから、今頃怒ってるだろうな・・・。

どんな顔して、顔を合わせればいいの?

困ったな。






(困った奴だな―――――――)

「困った奴だなー――――――」






ガチャン!ガラガラガラ!

「へ!?」






私の心の声と、聞き覚えのある声が重なる。





「りーん!なんで毎回、風呂場に鍵かけるんだー?」
「なっ!?」





反射的に脱衣所を見れば、瑞希お兄ちゃんのシルエットが映し出されている。





「えっ!?なっ!?なんで!?鍵かけたのに!!?」
「はあ~?俺、合いかぎ持ってるから!」
「いやいやいや!」

待って待って待って!!

前にもこんなことなかった!?

てか!!

「てか!!早く、湯に入らねぇーと、俺風邪ひくわ!」





そう言いながら、瑞希お兄ちゃんのシルエットが、どんどん肌色になっていく。





「ええええええええ!?入る気ですかっ!!?」
「はあ!?当たり前だろう!男同士、凛がここで暮らすことについて話そうぜ!」



いやいやいや!

今入って来られたら、確実に女の子だとバレる。

これからのFelicita(フェリチータ)での生活が白紙になる!!



(かといって、湯船から出て、入場を阻止するにしても、身体のラインで女子だとバレる!!)



さらに言えば、瑞希お兄ちゃんが風邪ひいちゃうよー!

なによりも!!





(告白をしてないのに、女の子だとバレるわけにはいかない!!)




それだけはさけたい!!




だから私は、苦肉の策に出た。





ガラガラガラ!





「うー!さぶさぶ!凛!ちゃんとぬくもっ・・・・!?」





私と瑞希お兄ちゃんの目が合う。
瑞希お兄ちゃんが言葉を失う。