「・・・・・・決めた。これからは毎日、鍛錬しよう・・・・・・。」
そう鏡の中の自分に告げると、浴室へと足を踏み入れた。
シャワーをひねって、頭から温かいお湯をかぶった。
身体がぬくもりを取り戻すにつれ、動くのが面倒になってしまった。
だからそのまま、湯気が立っている湯船に入った。
「きもちいい・・・。」
そうつぶやき、口元までお湯につかる。
(・・・・・つかれたな・・・・・・)
つかれた。
もう指一本動かせない。
入浴剤を入れる力もない。
いろんなことがあり過ぎて、つかれてしまった。
学校のこと。
両親のこと。
いじめのこと。
タイマンのこと。
けっきょく、バトルロワイヤルになったこと。
円城寺君との今後のこと。
(円城寺君・・・。)
結果的に、私が勝ってしまった。
怒りっぽい円城寺君のことだから、今頃怒ってるだろうな・・・。
どんな顔して、顔を合わせればいいの?
困ったな。
(困った奴だな―――――――)
「困った奴だなー――――――」
ガチャン!ガラガラガラ!
「へ!?」
私の心の声と、聞き覚えのある声が重なる。
「りーん!なんで毎回、風呂場に鍵かけるんだー?」
「なっ!?」
反射的に脱衣所を見れば、瑞希お兄ちゃんのシルエットが映し出されている。
「えっ!?なっ!?なんで!?鍵かけたのに!!?」
「はあ~?俺、合いかぎ持ってるから!」
「いやいやいや!」
待って待って待って!!
前にもこんなことなかった!?
てか!!
「てか!!早く、湯に入らねぇーと、俺風邪ひくわ!」
そう言いながら、瑞希お兄ちゃんのシルエットが、どんどん肌色になっていく。
「ええええええええ!?入る気ですかっ!!?」
「はあ!?当たり前だろう!男同士、凛がここで暮らすことについて話そうぜ!」
いやいやいや!
今入って来られたら、確実に女の子だとバレる。
これからのFelicita(フェリチータ)での生活が白紙になる!!
(かといって、湯船から出て、入場を阻止するにしても、身体のラインで女子だとバレる!!)
さらに言えば、瑞希お兄ちゃんが風邪ひいちゃうよー!
なによりも!!
(告白をしてないのに、女の子だとバレるわけにはいかない!!)
それだけはさけたい!!
だから私は、苦肉の策に出た。
ガラガラガラ!
「うー!さぶさぶ!凛!ちゃんとぬくもっ・・・・!?」
私と瑞希お兄ちゃんの目が合う。
瑞希お兄ちゃんが言葉を失う。


