「・・・俺が大事か、凛?」
静かに着てきた瑞希お兄ちゃんに、私は首を縦に振る。
これを受け、瑞希お兄ちゃんは仰った。
「俺を第一に考えるな。凛の人生を第一に考えるんだ。」
「・・・だったら絶対、瑞希お兄ちゃん第一主義ですよ。」
「そこまで、俺のことが好きか?」
「愛してます。」
「だったら、俺を愛するように自分のことも愛するんだ。俺も凛を愛し続ける。」
その言葉で、心の中の負の感情が一気に浄化する。
「俺を愛するように自分を愛せ。」
まっすぐな目で言われて、顔が熱くなる。
「これは、俺から凛へのお願いだ。叶えてくれるよな?俺のこと、愛してくれるよな?」
「―――――――――はい!!」
ガバッと、瑞希お兄ちゃんの背中に両手を回せば、同じように抱き返してくれる好きな人。
「愛してる、凛。俺達は家族だ。」
「はい・・・!」
「血のつながりはなくても家族だ。」
「はい・・・!」
「血がつながってるのに、凛を大事にしない家族のことなんか、忘れちまえ。」
「はい・・・・!」
「家族だからわかり合えるとは限らない。」
「はい・・・その通りです。」
私の心の中に、お母さんへの愛もお父さんへの愛も残っていない。
あるのは瑞希お兄ちゃんへの愛だけ。
「もう・・・お父さんとお母さんのことは愛せない・・・・信用できない・・・。」
心の中にあった毒を吐き出せば、瑞希お兄ちゃんは優しく私を抱き寄せてくれた。
「凛、もう家には帰るな。」
「え?」
「帰らないで、俺とここで暮らそう。」
「瑞希お兄ちゃんと暮らす・・・・・?」
「そうだ!俺と、俺達と、暮らしていこう。」
「いいの・・・・・?」
「俺の大事な凛を泣かせる奴らに、俺の凛を任せられるか!」
「瑞希お兄ちゃん――――――――!」
「凛―――――――!!」
強く互いを抱きしめあう私達。
ほどなくして、雨は小雨へと変わり霧へと変わるのだった。


