彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






突然の夕立の中を、単車で走った。





ザアアアアアアア!!

バウンバウン!バウンバウン!






ノーヘルだったので、すぐに髪が水分を吸って視界を遮る。
服が水気を含んで重くなっていく。





「うっ、うっ、うっ、ひっく!」





しかも両目から涙もあふれており、視界の悪い中で単車を運転する羽目になった。






(どうしよう――――――!)

どうしていいのかわからない。

飛び出してきた手前、のこのこと帰ることはできない。

(どこに行けばいい?)

頭がうまく回らない。

菅原凛に戻るつもりはない。

かといって、凛道蓮としてどこへ行けというのだろうか?





(行くあてなんてどこにもない!!)





そんな後ろ向きな気持ちでカーブを曲がったせいだろうか。





ズルッ!!

「あっ!?」

ヤバ!!

(倒れ――――――――――――!?)

キキッ――――――――!!





カーブを曲がり切れず、単車ごとスリップする。





ガッシャーン!!

「あうっ!!?」





地面と単車にサンドイッチされて横滑りに倒れた。





・・・・・カラ、カラ、カラ・・・・・。

「くっ・・・・!」





なんとか、単車の下から這い出る。
身体を起こし、その場に片膝ついて座り込む。





「あーあ・・・やっちゃった・・・。」






事故った。

でも、人を巻き込まなかっただけ立派。

自業自得の自損事故。






「・・・。」






何もする気が起きず、しばらく座り込んでいた。
時々、対向車が横を通り過ぎていくが、特に声をかけられることもなかった。





「・・・・帰りたい・・・。」

帰るって、どこに?

自問自答してみるが、答えは出てこない。







「――――――――ちくしょう!!」






馬鹿らしくなって立ち上がり、横倒しになっている単車を起こす。
エンジンをかけようとするが、寒さで手が震えてうまくかからない。







(マッチ売りの少女も、こんな風に震えてたのかな・・・?)






そう思ったら、ひどくみじめになってしまった。
これ以上その場にいたくなくて、ガードレールに単車を立てかけてカギを抜くと、そのまま歩き始める。