突然の夕立の中を、単車で走った。
ザアアアアアアア!!
バウンバウン!バウンバウン!
ノーヘルだったので、すぐに髪が水分を吸って視界を遮る。
服が水気を含んで重くなっていく。
「うっ、うっ、うっ、ひっく!」
しかも両目から涙もあふれており、視界の悪い中で単車を運転する羽目になった。
(どうしよう――――――!)
どうしていいのかわからない。
飛び出してきた手前、のこのこと帰ることはできない。
(どこに行けばいい?)
頭がうまく回らない。
菅原凛に戻るつもりはない。
かといって、凛道蓮としてどこへ行けというのだろうか?
(行くあてなんてどこにもない!!)
そんな後ろ向きな気持ちでカーブを曲がったせいだろうか。
ズルッ!!
「あっ!?」
ヤバ!!
(倒れ――――――――――――!?)
キキッ――――――――!!
カーブを曲がり切れず、単車ごとスリップする。
ガッシャーン!!
「あうっ!!?」
地面と単車にサンドイッチされて横滑りに倒れた。
・・・・・カラ、カラ、カラ・・・・・。
「くっ・・・・!」
なんとか、単車の下から這い出る。
身体を起こし、その場に片膝ついて座り込む。
「あーあ・・・やっちゃった・・・。」
事故った。
でも、人を巻き込まなかっただけ立派。
自業自得の自損事故。
「・・・。」
何もする気が起きず、しばらく座り込んでいた。
時々、対向車が横を通り過ぎていくが、特に声をかけられることもなかった。
「・・・・帰りたい・・・。」
帰るって、どこに?
自問自答してみるが、答えは出てこない。
「――――――――ちくしょう!!」
馬鹿らしくなって立ち上がり、横倒しになっている単車を起こす。
エンジンをかけようとするが、寒さで手が震えてうまくかからない。
(マッチ売りの少女も、こんな風に震えてたのかな・・・?)
そう思ったら、ひどくみじめになってしまった。
これ以上その場にいたくなくて、ガードレールに単車を立てかけてカギを抜くと、そのまま歩き始める。


