彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)








「今日のケンカは、はたからみたら、凛道蓮は最強だって見せつけるもんになってるだろう。けど、俺の中じゃ不合格だ。」
「え!?なぜです!?」
「大河達に八つ当たりしたからだ!!」
「っ!!」








ドキッとした。
思わず相手の目を見れば、射貫くように私を見据えていた。










「何にキレてんだ?なににムカついてんだ?誰に怒ってる?」
「――――――!」











答えられない。
答えてしまえば、正体を明かさなければいけないから。
黙り込む私に、瑞希お兄ちゃんがため息をつく。






「言いたくないならいい。」






そう言うと、グッと私の胸倉をつかむ。






「あ!?」
「言いたくねぇなら聞き出さないが、よく聞け!!初代龍星軍総長としての命令だ!二度と、今日みたいな戦い方はするな!!本当にぶちのめしたい奴をぶちのめせ!!関係ない奴らに八つ当たりをするんじゃねぇ!!」
「っ―――――――――!!」






正論だった。

何も言い返せない。

瑞希お兄ちゃんが言ってることは正しい。

だけど――――――――!!

バシ!!

「凛!?」






瑞希お兄ちゃんの手を、私の胸倉をつかんでいる好きな人の手を払いのけると、泣きたい気持ちで叫んだ。







「瑞希お兄ちゃんは正しい!!でも、その正しいをいつもいつも、実行できるほど、僕は完璧な人間じゃないっ!!」
「凛?」
「真面目に生きてたって!!時にはどうしようもなくなる時があるんです!!」
「凛、少し落ち着――――――」
「心を殺してまで、正しく生きて行かなきゃいけないぐらいなら、悪に染まってしまった方がましです!!」
「凛!?」
「失礼します!!」







さよならを告げると、応接室から飛び出す。
そのまま外に出ると、自分の単車にまたがる。







「凛っ!!」

バウンバウン!







名前を呼ばれた気がしたが無視した。








バウンバウンバウ――――――――ン!!







単車を急発進させた。








(最悪だ!!瑞希お兄ちゃんにまで、八つ当たりをして!!)







激しい自己嫌悪に襲われたが、後悔をしても遅い。
走り出したバイクを、止めることはできなかった。