彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)










〈めんどうだ。4人同時にかかってこい。〉

「凛!!やめろ――――――――!!」










好きな人がそう言ったかもしれないが、もうどうでもよかった。
とにかく、渕上ルノアに対する怒りを発散したかった。
スッキリしたかった。
だから――――――――――









〈始末するね。〉










八つ当たりすることにした。










「上等だ!!」
「まだできる!」
「倍返しにしてやるぜ!!」

「凛道ぉ――――――――――――――!!」











4人が一斉にとびかかってきた。












〈―――――――――マツムラパッサイ。〉














マイクでそう伝えると、僕は身をかがめて、マイクを床に転がす。





「余裕かよ凛道!?」





上体を起こし、姿勢を正してから僕は全身を動かした。





「はっ!!!」




マツムラパッサイの型をその場で披露する。




ビシュ!

「ぎゃう!?」





型の1つが中尾に当たり、リングの端まで吹き飛び、動かなくなる。





バシュン!

「ぐうう!?」





別の型が児雷也に当たり、中尾とは逆の方へ転がって行って動かなくなる。





ビュビュン!!

「かはっ!?」





さらに違う型が催馬楽に当たり、その場に片膝をつき――――――あおむけに倒れて動かなくなる。










「凛道――――――――!!!」

「たあ!!!」

ビシ!バシ!ガン!









流れるように繰り出す僕の型に、唯一、円城寺君だけが耐える。










「うおおおおおおお!!」

「ああああああああああ!!!」

ビシ!バシ!ビシ!バシ!











円城寺君は倒れない。



打たれ強かった。




〔★凛への対抗意識がそうさせている★〕





「うはははは!ばあちゃん、まつむらなんとかっちゅーのも空手!?」
「そうだよ。マツムラパッサイは、小林流の空手。琉球空手界の重鎮・眞栄城守信(まえしろう もりのぶ)殿が率いる流派だよ。」
「凛は琉球空手の使い手なのか!?」
「・・・そうらしいね。」





ビシ!バシ!ビシ!バシ!ビシ!

「くっ、ぐ、うぐ、ぐう、この!」






私からの攻撃に耐えてきた円城寺君。
この攻撃に耐えられたのは、船越師範以外はいない。






ドス!!

「がっ!?」






だから、一瞬、円城寺君の軸がぶれたことを見逃さなかった。