〈めんどうだ。4人同時にかかってこい。〉
「凛!!やめろ――――――――!!」
好きな人がそう言ったかもしれないが、もうどうでもよかった。
とにかく、渕上ルノアに対する怒りを発散したかった。
スッキリしたかった。
だから――――――――――
〈始末するね。〉
八つ当たりすることにした。
「上等だ!!」
「まだできる!」
「倍返しにしてやるぜ!!」
「凛道ぉ――――――――――――――!!」
4人が一斉にとびかかってきた。
〈―――――――――マツムラパッサイ。〉
マイクでそう伝えると、僕は身をかがめて、マイクを床に転がす。
「余裕かよ凛道!?」
上体を起こし、姿勢を正してから僕は全身を動かした。
「はっ!!!」
マツムラパッサイの型をその場で披露する。
ビシュ!
「ぎゃう!?」
型の1つが中尾に当たり、リングの端まで吹き飛び、動かなくなる。
バシュン!
「ぐうう!?」
別の型が児雷也に当たり、中尾とは逆の方へ転がって行って動かなくなる。
ビュビュン!!
「かはっ!?」
さらに違う型が催馬楽に当たり、その場に片膝をつき――――――あおむけに倒れて動かなくなる。
「凛道――――――――!!!」
「たあ!!!」
ビシ!バシ!ガン!
流れるように繰り出す僕の型に、唯一、円城寺君だけが耐える。
「うおおおおおおお!!」
「ああああああああああ!!!」
ビシ!バシ!ビシ!バシ!
円城寺君は倒れない。
打たれ強かった。
〔★凛への対抗意識がそうさせている★〕
「うはははは!ばあちゃん、まつむらなんとかっちゅーのも空手!?」
「そうだよ。マツムラパッサイは、小林流の空手。琉球空手界の重鎮・眞栄城守信(まえしろう もりのぶ)殿が率いる流派だよ。」
「凛は琉球空手の使い手なのか!?」
「・・・そうらしいね。」
ビシ!バシ!ビシ!バシ!ビシ!
「くっ、ぐ、うぐ、ぐう、この!」
私からの攻撃に耐えてきた円城寺君。
この攻撃に耐えられたのは、船越師範以外はいない。
ドス!!
「がっ!?」
だから、一瞬、円城寺君の軸がぶれたことを見逃さなかった。


