かすかに凛が反応を示したことで希望が芽生える。
「凛!俺がわかるか!?」
そう言って頬をなでれば、その目が、その瞳が動く。
(瑞希お兄ちゃんに呼ばれた・・・?)
そんな気がしたので、声がする方を見た。
(瑞希お兄ちゃん・・・・私の心の支え・・・・!!)
好きな人を求め、視線をただよわせた時だった。
「ぐえええええ!!ゴホゴホ!離せ筋肉だるまっ!!凛道蓮さんが見えねぇーだろう!?」
聞き覚えがあって、聞きたくない声が耳に届いた。
(この声は――――――――――――)
思わず、見てしまった。
声の主を。
そいつは、絶対安静で入院中で動けないと言われた渕上ルノア。
(菅原凛から高額な慰謝料をだまし取った挙句、自分は詐病をして、凛道蓮の試合を見るために遊んでるサイコパス女―――――――――!!)
そう再認識した瞬間、カチンときた。
「凛先輩!凛先輩ってば!返事して下さいよ!?水、飲みます!?」
雷太が差し出したペットボトルの水を、渕上ルノアの顔面目掛けてぶん投げる。
ブーン!!
「ブチ殺してやるからこっち来―――――――――――――――――い!!」
口汚くののしりながら。
「凛!?」
ペットボトルの水は、瑞希お兄ちゃんの側を通過して顔面に命中した。
ゴンッ!!
「ぶあ!!?」
見事に当たった。
「きゃああ!?メテオー!!」
「メテオ!大丈夫!?」
「しっかりして、メテオ!!」
「くっ・・・!!り、り、凛道蓮この野郎―――――――!!」
(あ・・・間違えた。)
いや、軌道はあっていた。
「わはははははは!!」
ただ、なぜか渕上ルノアは、百鬼に抱き着かれていたため、百鬼が移動したことによって、悪霊には当たらなかった。
〔★渕上ルノアは悪運が強かった★〕


