彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






かすかに凛が反応を示したことで希望が芽生える。





「凛!俺がわかるか!?」





そう言って頬をなでれば、その目が、その瞳が動く。





(瑞希お兄ちゃんに呼ばれた・・・?)





そんな気がしたので、声がする方を見た。





(瑞希お兄ちゃん・・・・私の心の支え・・・・!!)





好きな人を求め、視線をただよわせた時だった。








「ぐえええええ!!ゴホゴホ!離せ筋肉だるまっ!!凛道蓮さんが見えねぇーだろう!?」








聞き覚えがあって、聞きたくない声が耳に届いた。






(この声は――――――――――――)






思わず、見てしまった。

声の主を。

そいつは、絶対安静で入院中で動けないと言われた渕上ルノア。









(菅原凛から高額な慰謝料をだまし取った挙句、自分は詐病をして、凛道蓮の試合を見るために遊んでるサイコパス女―――――――――!!)









そう再認識した瞬間、カチンときた。








「凛先輩!凛先輩ってば!返事して下さいよ!?水、飲みます!?」








雷太が差し出したペットボトルの水を、渕上ルノアの顔面目掛けてぶん投げる。










ブーン!!

「ブチ殺してやるからこっち来―――――――――――――――――い!!」









口汚くののしりながら。





「凛!?」





ペットボトルの水は、瑞希お兄ちゃんの側を通過して顔面に命中した。





ゴンッ!!

「ぶあ!!?」





見事に当たった。






「きゃああ!?メテオー!!」
「メテオ!大丈夫!?」
「しっかりして、メテオ!!」
「くっ・・・!!り、り、凛道蓮この野郎―――――――!!」



(あ・・・間違えた。)



いや、軌道はあっていた。



「わはははははは!!」







ただ、なぜか渕上ルノアは、百鬼に抱き着かれていたため、百鬼が移動したことによって、悪霊には当たらなかった。





〔★渕上ルノアは悪運が強かった★〕