〈えーとぉ~10カウントしても~円城寺大河君が~起きなかったので~・・・このタイマンの試合は、凛道蓮君の勝利としまーす・・・!!〉
投げやりにアキナが言えば、ドッとあふれんばかりの歓声が上がる。
「やったぁー!!勝ったぁ――――!!!!凛先ぱぁーーーーーい!!!」
その場でジャンプする中坊の横を、素早く通過する。
そんな俺のあとに、ヤマトが続く。
「凛っ!!!」
急いでリングに上がり、棒立ちになっている弟分に抱き着いた。
「凛!凛!わかるか!?勝ったんだぞ!?」
「・・・。」
「凛!!」
呼びかけるが反応はない。
「凛!わしらの声が聞こえんのか!?」
「凛先輩~!!おめでとうごーーーーーちょ、凛先輩!?大丈夫ですか!?医者、シゲ先生呼びましょうかー!?」
「呼ぶわ!シゲ先生―ちょっと来てー!!」
「凛っ!俺の目を見てくれ!」
ぼんやりしている凛の両頬に両手を当てて、自分の方を向かせる。
それでゆっくりと凛の瞳が、俺の方を見た時だった。
「凛道蓮さーん♪私、強いあなたが大好きよぉー♪」
「!?」
聞き覚えのあるイヤな声。
反射的に振り返れば、そこにいたのは、絶対安静で入院していることになっているらしい渕上ルノアの姿。
「凛道蓮さん♪」
途端に、ピクッと凛の身体がこわばった。
それで反的に俺は叫んでいた。
「皇助!!そのクソ女を凛に近づけるな!!」
「わはははははははは!!お嬢ちゃんお祝いのハグしようぜー!!」
グワシ!!
「ぐえ!?」
そう叫ぶなり、ハグではなく、スリーパーホールドをかける皇助。
〔★野獣はいい仕事をしている★〕


