彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)







〈えーとぉ~10カウントしても~円城寺大河君が~起きなかったので~・・・このタイマンの試合は、凛道蓮君の勝利としまーす・・・!!〉






投げやりにアキナが言えば、ドッとあふれんばかりの歓声が上がる。







「やったぁー!!勝ったぁ――――!!!!凛先ぱぁーーーーーい!!!」







その場でジャンプする中坊の横を、素早く通過する。
そんな俺のあとに、ヤマトが続く。






「凛っ!!!」






急いでリングに上がり、棒立ちになっている弟分に抱き着いた。






「凛!凛!わかるか!?勝ったんだぞ!?」
「・・・。」
「凛!!」






呼びかけるが反応はない。







「凛!わしらの声が聞こえんのか!?」
「凛先輩~!!おめでとうごーーーーーちょ、凛先輩!?大丈夫ですか!?医者、シゲ先生呼びましょうかー!?」
「呼ぶわ!シゲ先生―ちょっと来てー!!」
「凛っ!俺の目を見てくれ!」







ぼんやりしている凛の両頬に両手を当てて、自分の方を向かせる。
それでゆっくりと凛の瞳が、俺の方を見た時だった。









「凛道蓮さーん♪私、強いあなたが大好きよぉー♪」

「!?」









聞き覚えのあるイヤな声。
反射的に振り返れば、そこにいたのは、絶対安静で入院していることになっているらしい渕上ルノアの姿。









「凛道蓮さん♪」









途端に、ピクッと凛の身体がこわばった。

それで反的に俺は叫んでいた。









「皇助!!そのクソ女を凛に近づけるな!!」
「わはははははははは!!お嬢ちゃんお祝いのハグしようぜー!!」

グワシ!!

「ぐえ!?」









そう叫ぶなり、ハグではなく、スリーパーホールドをかける皇助。





〔★野獣はいい仕事をしている★〕