彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「凛道ぉ!!いい加減に攻撃をしてこい!!」





ドス!ドス!ドス!





「俺は自主練してんじゃねぇーぞ!?」





ドス!ドス!ドス!





「人を―――――俺をコケにするな―――――!!」

「大河!」





大河がとどめを刺そうとしているのがわかった。





「凛っ!!」





どちらも大事な後輩だが、俺は凛に、凛が、凛を―――――――――!!





(凛に声が届かないなら、強制的に試合を止めるしかない!!)





「ヤマト!試合用のタオル持ってるか!?」
「!?ありまっせ!!」





格闘技の試合では、セコンドがタオルを投げ込めば、負けを認めたことになる。





(タオルを投げ込むのは、大河を傷つけることになるが―――――――――凛が大事だ!!)

「投げ込め!!」

「うはははははーい!!」





俺の命令に、ヤマトは素直に応じる。
そして、首にかけていたタオルを手に取り、丸めて握りしめる。





「りーーーーーーーん!!」





大きく振りかぶるヤマト。





(間に合うか!?)


「やめろっ!!」





タオルを持つヤマトの手が抑え込まれた。





「中坊!?」
「うははははは!なにすんねん!?襟足くーん!?」





ヤマトの動きを止めたのは、現役龍星軍の最年少メンバー。





「この試合、まだ終わっちゃいねぇ!凛先輩なら、円城寺に逆転勝ち出来る!それがわかってるのに、無意味にタオル投げ込むんじゃねぇ!!」
「ドアホ!!俺が心配してるのは、凛の方じゃない!!」
「はあ!?凛先輩を心配してない、だと!?」
「俺は大河の身が危ないって言ってんだよっ!!」
「はああ!?凛先輩じゃなくてっ!?」

「凛じゃないっ!!!」





(・・・・・・・・誰?)






だれか、私の名前を呼んだ?





ひどくさえた頭に声が響く。





なんとなく、視線を前に向ければ、円城寺君がいた。





(なんで、円城寺君と向き合ってるんだろう・・・・?)





「くたばれ凛道!!!」





そう叫び、相手の握りしめた利き手のこぶしが私に迫る。





そこでようやく思い出す。





(ああ、そうだ・・・・・私、円城寺君とタイマンしてるんだった。)





しかも、見世物にされちゃってるんだっけ。