「凛道ぉ!!いい加減に攻撃をしてこい!!」
ドス!ドス!ドス!
「俺は自主練してんじゃねぇーぞ!?」
ドス!ドス!ドス!
「人を―――――俺をコケにするな―――――!!」
「大河!」
大河がとどめを刺そうとしているのがわかった。
「凛っ!!」
どちらも大事な後輩だが、俺は凛に、凛が、凛を―――――――――!!
(凛に声が届かないなら、強制的に試合を止めるしかない!!)
「ヤマト!試合用のタオル持ってるか!?」
「!?ありまっせ!!」
格闘技の試合では、セコンドがタオルを投げ込めば、負けを認めたことになる。
(タオルを投げ込むのは、大河を傷つけることになるが―――――――――凛が大事だ!!)
「投げ込め!!」
「うはははははーい!!」
俺の命令に、ヤマトは素直に応じる。
そして、首にかけていたタオルを手に取り、丸めて握りしめる。
「りーーーーーーーん!!」
大きく振りかぶるヤマト。
(間に合うか!?)
「やめろっ!!」
タオルを持つヤマトの手が抑え込まれた。
「中坊!?」
「うははははは!なにすんねん!?襟足くーん!?」
ヤマトの動きを止めたのは、現役龍星軍の最年少メンバー。
「この試合、まだ終わっちゃいねぇ!凛先輩なら、円城寺に逆転勝ち出来る!それがわかってるのに、無意味にタオル投げ込むんじゃねぇ!!」
「ドアホ!!俺が心配してるのは、凛の方じゃない!!」
「はあ!?凛先輩を心配してない、だと!?」
「俺は大河の身が危ないって言ってんだよっ!!」
「はああ!?凛先輩じゃなくてっ!?」
「凛じゃないっ!!!」
(・・・・・・・・誰?)
だれか、私の名前を呼んだ?
ひどくさえた頭に声が響く。
なんとなく、視線を前に向ければ、円城寺君がいた。
(なんで、円城寺君と向き合ってるんだろう・・・・?)
「くたばれ凛道!!!」
そう叫び、相手の握りしめた利き手のこぶしが私に迫る。
そこでようやく思い出す。
(ああ、そうだ・・・・・私、円城寺君とタイマンしてるんだった。)
しかも、見世物にされちゃってるんだっけ。


