シルキロールをしているおかげで、寒くないが呼吸が苦しい。
「凛先輩!いよいよっすね!」
呼吸が苦しいのではなく、胸が苦しいのかもしれない。
「・・・凛、無理してへんか?顔色悪いで?」
「気にし過ぎだよばーか!凛先輩、今修羅モード的な感じに入ってるだけだって!」
苦しいのは肉体じゃなくて心なのだろうか?
〈時間でーす♪円城寺大河、凛道蓮!両者、リングの中央へどうぞ!〉
レフリー姿のアキナさんが私と円城寺君を呼ぶ。
アキナさん、今回はどうやって僕を苦しめる気なの?
どうして、私はイジメられるの?
―人間が壊れる姿を見たいと思ってたところに、偶然菅原凛って存在がいたから、実験してるだけよ―
私はモルモットと同じなの?
いや俺、ハムスターは好きだけどさ。
「凛道。」
そう、僕は『凛道蓮』です。
「俺はガチでお前を殺すつもりでやりにいく!手加減とか、人を馬鹿にした考えは捨てろよ・・・!?」
人を馬鹿にする?
ううん、私は一度だって誰かを馬鹿にしたことはないよ。
『菅原凛』は、常に真面目に生きてきた。
「言っておくが、俺が勝っても龍星軍では、俺が総長代行、オメーが4代目総長だ。この勝負の勝ち負けの結果で、龍星軍での肩書に影響は出ないから安心しろ!!」
影響・・・大学進学に影響するって言われたけど、私はカンニングも窃盗もうやっていない。
悪事は、『菅原凛』も『凛道蓮』も許さない。
僕、ちゃんと、お父さんとお母さんの言う通りにしてきたのに。
良い子にしてきたのに。
何で叩いたの?
どうして、罵声を浴びせるの?
俺のこと、嫌いになっちゃったの?
どうして、お母さん、お父さん?
「なあ、烈司!モニカ!伊織!皇助!このタイマン、中止にできねぇか!?」
「みーちゃん!?」
「瑞希、お前・・・。」
「なに言い出すんだよ!?凛助の戦うところ見せろよ!!」
「ダメだ!やっぱりどう考えてもダメだ!!今の凛が戦うのは――――――――!!」
「・・・ヤバいって、瑞希も気づいたんか?」
「烈司!?オメー気づいて!?」
「占い師舐めんなよ?凛たんの精神状態が悪いのは、なんとなく感じ取れた。・・・気の流れがいつもと違う。」
「え!?ちょっと待って!凛ちゃん、怪我しちゃうの!?」
「わはははは!どのみちケガはする前提だろう~!?」
「もしや・・・そういうレベルの問題ではないのか?瑞希、烈司?」
「「そうだ!」」
伊織の言葉に即答し、すぐに俺は声を上げた。


