彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






リング前の凛道蓮の待機場所に戻った時、





「凛!!」





ヤマトと雷太の側に、あの方はいらっしゃった。





「瑞希お兄ちゃん・・・。」
「凛!マジで大丈夫か!?」





私に近寄り、肩を抱きながら私の顔をのぞき込む瑞希お兄ちゃん。





「具合悪いなら、シゲ先生に見てもらうか!?薬飲まなくて、へ――――――――・・・・・・!?」
「平気ですよ。」





笑顔で伝えたのだが―――――――







「・・・・・・・なにがあった?」
「え?」
「なにかあっただろう、凛?」







キレイな瞳が、私を見つめながら聞いてくる。







「なにがあった、凛・・・!?」







―あたし達は、菅原凛と冗談で遊んでただけよ。遊びをいじめだと決めつけないでほしいわ。―







「・・・何もないですよ?」
「俺に嘘ついても無駄だぞ凛!今の凛は――――――――――!!」
「瑞希!時間だぞ!」
「烈司!」





瑞希お兄ちゃんの言葉を、ヘビースモーカーが遮りながら言った。





「凛たんへのエールを送る時間は終わりだ。」
「ちょっと待て!今凛を試合に――――――!」
「凛たんと円城寺を公平に応援するなら、激励タイムは終了だ。悪いな、凛たん。タイマン前の瑞希との触れ合いの時間は、ここまでなんだ。」

「・・・わかりました。」

(瑞希お兄ちゃんからの激励タイム、渕上達のせいでなくなっちゃった・・・。)

あんな会話を聞いたせいで・・・!!



―菅原凛は、過去に家出をしてる。小学生の家出と、高校生の家出は意味が違ってくる。菅原凛が家出中にパパ活をしてたって話せば、だれも疑わずに信じるはずよ。―



火に油を注ぐとは、こういうことを言うのだろう。
どんどん怒りの感情が蓄積していく。
それが爆発しないように、必死で気を紛らわせるが――――――





(渕上ルノアのつむいだ言葉が、私を苦しめる。)





近くのものに、八つ当たりしそうな気持になっていく。
今のところ、凛の異変に気付いているのは真田瑞希だけだった。












~悪女が花を添える!?漢同士のマジタイマン!!~前編~完~