「でもフッチー、井谷の先公に、菅原のニセアカウントをあたしらが作って、いじめを捏造した件を話して大丈夫だったの?」
「味方に教師がいいた方が何かと便利よ。」
「でもでも!私らを裏切る可能性ないかな!?」
「一千万もらっておいて、裏切るはずないじゃない。」
「え!?井谷先生に一千万払ったんですか!?」
「そうだよ、マキ。ご褒美で上げて、追加のお代わりはOKだと伝えた。もちろん、あゆみが丘学園の校長と理事長にもね。」
「つーか、理事長ヤバくないすか!?ルノアちゃんのお母様にガチ恋してるじゃん!?」
「老人の純愛とかキモ!!」
「あ、ガチ恋で思い出したけどフッチー、校長がフッチーにガチ恋してるみたいなんだけど・・・」
「知ってるよ。だから利用してる。あたしの彼氏はアダムだけだよ。」
「ルノア♪」
悪霊の言葉に、その彼氏が嬉しそうに恋人をと抱き寄せる。
「ルノアさん、モテますよね!岩倉刑事も、ルノアさんに夢中になって恋してますよね!ルノアさんキレイだから当然だと思いますけど!」
「夏美もお世辞がうまくなったね。」
「お世辞じゃなくて本心ですよ~」
そう言って媚びる姿には、初めて会った頃の夏美ちゃんの面影はなかった。
「でもさー菅原への慰謝料500万って安くない?もう少し粘れたんじゃないの、フッチー?」
「ケガじゃなくて、精神的なものによる慰謝料だから、それが妥当なんだってさ。」
「くっくっくっ!ルノア~お前ゴミ原に、精神的ダメージ受けたのか~?なぐさめてやろうかぁ~?」
「うそにきまってんだろう、アダム?からかわないでよ。」
(うそ、だと・・・!)
「心の傷なんて目に見えないから、傷ついてるふりをするのは簡単だった。バレやしないよ。」
「本当かよ~?」
「当たり前でしょう。そのために、病院は渕上家御用達、医師もあたしの専属精神司会を担当につけたんだから。もちろん弁護士も。」
「もしかして・・・あの弁護士も、菅原凛がいじめられて田川だって知ってるのか?」
「当たり前だよ。口裏はあわっせておかないと、どこでバレるかわかったもんじゃない。」
「菅原の奴、今行方不明らしいけど、死んじゃうかな?」
「死んだらどうするフッチー?」
「関係ないね。」
自分を抱きしめている彼氏の髪をなでながら渕上ルノアは言った。


