「菅原凛の両親は、あゆみが丘学園に娘を通わせて卒業させたいと考えてる。話を聞く限り、その考えは変わらない。だから、転校して逃げられるようなことはされない。」
人差し指に可愛くデコレーションされた飾りをなぞりながら笑う。
「菅原凛も、両親の言いなりで生きてるのは、あのゴミの中学時代の同級生、小学生時代の連中から聞き取り調査済みよ。」
そう言うと、仲間達を見渡しながら渕上ルノアは言った。
「おまけに菅原凛は、過去に家出をしてる。小学生の家出と、高校生の家出は意味が違ってくる。菅原凛が家出中にパパ活をしてたって話せば、だれも疑わずに信じるはずよ。」
「は・・・ははは!我が彼女ながら、すごいなルノア?そこまで、ゴミ原・・・菅原凛が嫌いだったのか?」
「はいはい!俺さ俺さ!菅原のすました態度が大嫌いなんだけどさ、渕上さんはなんで菅原が大嫌いなわけ!?やっぱり、アダムが菅原から宿題見せてもらってたから嫉妬したの!?」
「嫉妬じゃない。」
再び、自分の爪に視線を落としながらいじめっ子の女ボスは言った。
「たまたま、あたしの男があたし以外の女を頼ったのが気に入らなかっただけ。」
「それだけですか・・・?」
「そうだよ、マキ。別に菅原じゃなくてもよかった。人間が壊れる姿を見たいと思ってたところに、偶然、菅原凛って存在がいたから、実験してるだけよ。」
(そんな理由で私をいじめたの!!?)
「菅原凛の部屋に、盗聴器仕掛けるのが簡単で良かったよねー」
「私生活を垂れ流すのかと思えば、菅原の生活リズムに合わせて、菅原がルノアの悪口をネットにアップしてるように更新するからびっくりしたよ!マジ天才過ぎる!」
「菅原凛がいじめをしてる偽装のために、インスタとかにニセアカウント作るとか、俺じゃ考えられなかった。」
「それを思いついた私を嫌いになった、アダム?」
「まさか!スリルと刺激的な面白い体験ができて最高だったぜ!」
そう言って、性悪悪女に見惚れる悪人。


