彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






〈さすが円城寺大河!!噛みつき方がいいですね!!先手を取られて、凛道蓮は呆然としてます♪カッコ悪―い♪〉

「あなたは性格が悪いですよ、九条アキナさん。」
「タイマンになれ合いは不要だ!」





そう告げると、私に背を向けて、リングの外にいる、セコンドのカンナさん達の方へ戻っていく円城寺君。





(敵意をガンガンに向けられるのって、疲れるな・・・。)





円城寺君の背中を見ながら、小さくため息をつく私。
そして、方向転換し、リングから降りようとした時だった。







「凛道さん頑張ってー♪」







という声援が耳に入った。
私を応援する声はいくつか聞こえていた。
全部に返事をしていたらきりがないし、答えるほど余裕もなかったのでスルーしていた。
でも、『その声』は、無視できなかった。
声がした方を反射的に見る。







「あ、こっち見てくれた~♪」
「よせよ、ルノア!目立つだろう!?」


(『ルノア』、だと・・・!?)








動機がした。

心臓が嫌な音を立てる。

それでも、確かめずにいられなかった。

群衆の中からその姿を探して――――――見つける。








「ふ・・・・・!?」

(渕上ルノア!!!?)








そこには、大けがで入院しているはずの渕上ルノアがいた。








(なんでここにいるの!?病院じゃないの!?重症だから、怪我の程度がひどいから、慰謝料も高額になって、我が家は言われるままに払うことになったのに―――――――――!!?)








チラ見しかしてないけど、それでも無傷で健康であると確認できた。