〈か弱い見た目で相手をだまし討ちにする外道の凛道蓮は、今宵、どのような極悪伝説を作るのか!?〉
「あのー僕への説明、差別を感じるのですが!?」
〈はぁーい!両雄、リングインしました!!それでは両者、中央へ!!〉
「いや、無視ですか!?」
こちらを見ることなく言うアキナさんに、呆れると同時に諦める。
今夜は、円城寺君とタイマンをするためにここに来た。
悪く言われるのはいつものことだと、割り切って戦おうと、気持ちを切り替える。
(あ・・・土足でリングに入ってよかったのかな?)
そう思いながら、円城寺君を見れば、彼も土足でリングを歩いてる。
じゃあ、大丈夫だと思ったところで、程よい距離で足を止める。
ズンズンズン!
「ん?」
私は歩みを止めたのだけど――――――
ズンズンズン!
「ちょ、円城寺君!?」
相手の方がなかなか止まらなかった。
「ちょっと近くないですか!?」
「・・・。」
ようやく立ち止まったと思ったら、息がかかる距離。
間近で見る円城寺君は、瞳孔が開いていて怖い。
というか・・・
「そんなに・・・見つめないで頂きたいのですが・・・・。」
「メンチきってんだよボケ!!」
通常運転で怒られた。
〔★凛は危機感レベルが低かった★〕
〈では、今夜のタイマンのルールを簡単に説明します!基本、どちらかが倒れるまで殺し合いをしますが~勝てないと思ったら、遠慮なくギブアップ、あるいはセコンドにタオルを投げ入れてもらって下さいね、凛道蓮さん!!〉
「あの、どうして僕個人を名指しするのですか?」
〈場外やダウンは、10カウントをとりまーす!〉
「また無視ですか!?」
〈殴り足らない、蹴り足りないと思ったら、その場の空気を読んで、10カウント数え終わってても攻撃していいでーす♪〉
「ひどい話だ・・・。」
「安心しろ凛道!!オメーをいじめるつもりはねぇからな!!」
「では、正々堂々と勝負ということで良いですか?」
「当然だ!!泣かしてやるよっ!!」
「じゃあ、涙をこらえます。」
「チッ!馬鹿にしやがって!!」
〈はーい!それじゃあ、握手して下さーい!〉
「はい、わかり――――――」
「誰がするかっ!!」
バシッ!!
「痛!?」
言われた通り手を差し出したら、円城寺君がその手を振り払った。
というより・・・叩いてきた。


