彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






〈か弱い見た目で相手をだまし討ちにする外道の凛道蓮は、今宵、どのような極悪伝説を作るのか!?〉

「あのー僕への説明、差別を感じるのですが!?」

〈はぁーい!両雄、リングインしました!!それでは両者、中央へ!!〉

「いや、無視ですか!?」





こちらを見ることなく言うアキナさんに、呆れると同時に諦める。

今夜は、円城寺君とタイマンをするためにここに来た。

悪く言われるのはいつものことだと、割り切って戦おうと、気持ちを切り替える。





(あ・・・土足でリングに入ってよかったのかな?)





そう思いながら、円城寺君を見れば、彼も土足でリングを歩いてる。
じゃあ、大丈夫だと思ったところで、程よい距離で足を止める。





ズンズンズン!

「ん?」





私は歩みを止めたのだけど――――――





ズンズンズン!

「ちょ、円城寺君!?」





相手の方がなかなか止まらなかった。





「ちょっと近くないですか!?」
「・・・。」





ようやく立ち止まったと思ったら、息がかかる距離。
間近で見る円城寺君は、瞳孔が開いていて怖い。
というか・・・





「そんなに・・・見つめないで頂きたいのですが・・・・。」

「メンチきってんだよボケ!!」





通常運転で怒られた。





〔★凛は危機感レベルが低かった★〕





〈では、今夜のタイマンのルールを簡単に説明します!基本、どちらかが倒れるまで殺し合いをしますが~勝てないと思ったら、遠慮なくギブアップ、あるいはセコンドにタオルを投げ入れてもらって下さいね、凛道蓮さん!!〉

「あの、どうして僕個人を名指しするのですか?」

〈場外やダウンは、10カウントをとりまーす!〉

「また無視ですか!?」

〈殴り足らない、蹴り足りないと思ったら、その場の空気を読んで、10カウント数え終わってても攻撃していいでーす♪〉

「ひどい話だ・・・。」
「安心しろ凛道!!オメーをいじめるつもりはねぇからな!!」
「では、正々堂々と勝負ということで良いですか?」
「当然だ!!泣かしてやるよっ!!」
「じゃあ、涙をこらえます。」
「チッ!馬鹿にしやがって!!」

〈はーい!それじゃあ、握手して下さーい!〉

「はい、わかり――――――」
「誰がするかっ!!」

バシッ!!

「痛!?」





言われた通り手を差し出したら、円城寺君がその手を振り払った。

というより・・・叩いてきた。