「無理に言わなくていいわよ。その代わり、化粧直しさせてね?そんなファンデーションの塗り方じゃ、みーちゃんだけじゃなくて、イオリンにも、皇助にもバレるからね。」
そう言いながらポーチを取り出すと、おいでおいでと手招きをするオネェさん。
「『良い漢』にしてあげるからおいで♪」
「・・・ごめんなさい。」
「もおーそこは、ありがとう、でしょ♪」
モニカちゃんの側に行けば、座るようにうながされ、定位置であるカウンターキッチンの自分の席に座る。
「凛ちゃんの可愛いお顔を傷物にするなんてサイテーね!そんな身内、大事にしなくていいからね?あたしみたいに捨てればいいから♪」
「え!?モニカちゃんも、ご両親から暴力を!?」
「うん!特に、祖父がひどかったわぁ~!思い出しただけでも、しわが増えちゃいそうになるけど~凛ちゃんが腕の中にいるから、プラマイゼロで大丈夫よ♪」
「そうですか・・・。」
「凛ちゃん、メイク落としでファンデーション落として、塗り直すから、ジッとしててね?」
「はい・・・よろしくお願いします。」
お言葉に甘えて身を任せれば、真顔で私の顔を修正していくオネェさん。
そういえば、前にモニカちゃん、性別変更することでもめたって言ってたよね・・・。
(モニカちゃんの場合、価値観が合わなかったから起こったことだけど―――――――)
私は違う。
(信頼関係が築けてなかったんだ・・・。)
16年家族をしてきた。
ぶっちゃけ、私も友達と外泊をしたという嘘をついたのは、悪いと思ってる。
だけど、それ以上に、両親の要求を聞いてきた。
空手道場をやめたのだってそう。
塾に通ったのだってそう。
子供の時からずっと塾で勉強ばかりした。
両親の言葉で。
親の言うことを着て良い子にしているにもかかわらず、両親は私の主張は認めてくれなかった。
表立って、家出した時に助けてくれた瑞希お兄ちゃん探しだってやめた。


