「待てよ!!止まれよ!!犯罪者!!」
「おーい!こっちに菅原凛がいるぞ!!来てくれ!!」
「情報提供サンキュー!徹底的に追い詰めるぞ!!」
「正義の鉄拳くらわせてやる!!」
「なんとか言えよ菅原凛!!」
(言えるわけないだろう!!)
走りながら、心の中で文句を言う。
(くそ!言い返したいけど、言い返せば、言い返すほど、連中の私への執着を強めてしまう!私の発言が拡散されてしまう)
そう思ったので、無言で荷物を抱えて走った。
「はあ、はあ、はあ!」
しつこい!全然諦めてくれない!!
「おーい!こっちだ!こっちに菅原凛がいるぞ!」
「すぐにグループLINEでスクランブルだ!」
「みんな呼べ!」
てか、どんどん集まってきてない!?
「連絡ありがとう!絶対、菅原凛を追い詰めような!」
「呼ばれて来たよ~♪本物拝めてラッキー!」
「やっぱり、ネットの写真は加工されてたか!!実物ブスじゃねぇーか!!」
増える声と足音に、神経を研ぎ澄ませる。
(あいつらを振り切るには、なにか乗り物を―――――タクシーを捕まえよう!)
そう決めて大通りの道を進む。
「おい!あいつ、車拾う気じゃない!?」
「他の仲間に連絡しろ!」
「待ち伏せしようぜ!」
(くそ!行動を読まれてる!)
荷物を詰め込んだカバンのヒモが食い込む。
それを直すのを我慢して走る。
そのかいあって、目の前に、車が走る大通りが見えた。
(とにかく、車道に沿って走りながらタクシーを捕まるしか逃げる手はない!)
そう思い、ラストスパートを切ろうとしたのだが――――――
「そこまでだ!!」
ゆく手をさえぎるように、物陰から男が飛び出してきた。


