私と船越師範を乗せたタクシーが、菅原家の前に停まった。
料金がまたしても船越師範持ちになったのが心苦しかったが、それ以上に両新と顔を合わせるのが心苦しかった。
(無断外泊しちゃっただけでも大騒ぎなのに、学校からカンニングと盗難の犯人と決め付け宣告をされて停学処分を受けた挙句、渕上を突き飛ばした傷害罪のでっち上げ、さらには渕上への慰謝料の500万の支払いまで命じられてる中で、どこまで私が言うことを信じてもらえるだろう・・・?)
〔★厳しい道のりだった★〕
菅原凛にとって、今の状況は極めて不利。
不安で、足がすくむ。
「大丈夫だよ、愛弟子。」
そんな私の心中を察して、船越師範が優しく肩を抱いてくれた。
「なんだかんだ言って、大半の親は、最後は子供の味方をするもんだ。」
「つまり、みんなみんな、子供の味方をするわけじゃないんですよね?」
「残念だけど、そうだ。でもね、話をする前からビクビクしてたらダメだ!悪いことしてないのだから、堂々としてればいい!菅原凛は悪いことなんて、何もしてない!そうだろう!?」
「・・・はい、菅原凛は悪いことしてないです。」
(凛道蓮は、なんともいえないけどね。)
そう思ったら、気持ちが少しだけ楽になった。
「心の準備はいいかい、愛弟子?」
「はい、船越師範!」
大丈夫だと伝えれば、私の手をつないでくれた。
そのまま玄関に近づき、船越師範がインターホンを押した。
ピンポーン♪
しばらく待ったが――――――
(応答がない・・・?)
留守なのかと車庫を見るが、2人分の車はおいてある。
平日だったけど、通勤で使う車があるということは休みを取ったのだろうか?
インターホンを押せば、来客の姿が画面に映るはず。
(もしかして、相手が船越師範ということで、居留守使っているの?)
でも、船越師範に私を連れて来いと言ったのよね?
もしかして、画面に私が撃つってなかったとか?
それならば―――――――――
「愛弟子?」
(私がインターホンを押してやる!)
ピンポーン♪
これで無視されるようなら、帰ればいい。
そう思ったのだが――――――――――
ガチャン!
玄関のドアが開いた。


