「ごめんなさい、後藤先生!私のせいで、後藤先生がいじめの対象になってしまって!」
「気にしないで、菅原さん。悪いのは――――――あゆみが丘学園の内部よ。いくら、渕上ルノアさんの家が、あゆみが丘学園に多額の寄付をしてるからと言って、言いなりになるのはおかしいわ!」
「後藤先生・・・。」
「後藤ちゃん、あんたが愛弟子の力になりたい気持ちはわかるが、今はおとなしくして様子を見る時だ。動かない方がいい。」
「でも!」
「愛弟子のことは私に任せて、ほとぼりが冷めるの待った方がいい。ただし、井谷のとい女教師は何かしてくる可能性が高い。そこだけ、気をつけるんだよ。」
「そうですよ!井谷には気をつけて下さい!渕上ルノアの奴隷だと思った方がいいです!」
「そこまで上下関係がはっきりしてるの!?」
「してます!あと、なんとなくですが、渕上ルノアからわいろを受け取ってそうです!」
「わいろ・・・わいろ、ね・・・。あり得るかもしれない・・・。」
「心当たりでもあるのかい、後藤ちゃん?」
「はい。実は・・・いきなり殴られたことに納得できなくて、2人きりになった時に抗議しようと・・・井谷先生を尾行したんです。」
「危ないことしないで下さいよ!?」
「だって、悔しかったんだもん!そうしたら、人気のない廊下で=――――――多分あれは、B組の鳥海さんという女子だったと思うんだけど・・・現金を手渡ししてたのよね。それも1万円札の束で。」
「ええ!?」
「証拠は撮ったのかい!?」
「ご、ごめんなさい!びっくりして、見つからないようにその場から逃げるのが精いっぱいで―――――!」
「なんてこった!惜しいことしたね!」
「なにをいうんですか、船越師範!逆に、逃げて正解ですよ!動揺して行動を起こすのは、失敗の元です!」
「それもそうか・・・。悪いこと言ったね、後藤ちゃん。ごめんよ。」
「いえ!今度はきちんと撮影できるように頑張ります!」
「愛弟子のために、ありがとうね、後藤ちゃん。ちなみに―――――――――愛弟子が、菅原凛が格闘技を習っていたこと、誰かにしゃべったりしてないかい?」
「え?いいえ!菅原さんが格闘技・・・琉球空手をしていたなんて、船越さんにお会いするまで知りませんでした。」
「・・・そうかい。」
後藤先生の返事に考え込む船越師範。


