「菅原さん、これからご両親に会いに行くのよね?」
「・・・はい。そのつもりでいます。」
「その時、先生も一緒に付き添っていいかな?」
「え?」
「ダメだよ!!」
後藤先生の提案を船越師範が却下する。
「後藤ちゃん、あんたはついてきちゃダメだよ!これ以上、愛弟子に肩入れしてると渕上ルノア側に、あゆみが丘学園側に認識されれば、後藤ちゃんのいじめがひどくなる。」
「いじめ!?」
それも後藤先生って、どういうこと!?
思わず、後藤先生を見れば、彼女は明らかに動揺していた。
「やめて下さい!菅原さんには言わない約束でしょう!?」
「つまり、事実なんですね、後藤先生!?」
「菅原さん、先生は、大丈夫だから気にしないで――――」
「気にします!どんないじめなんですか!?教えて下さい!」
持っていた明太子のおにぎりを置きながら言えば、サンドイッチを口に運んでいた後藤先生の手が止まる。
「後藤先生!」
「・・・業務には支障ない程度よ・・・。」
私の訴えが通じたのか、後藤先生は少しずつ話してくれた。
「あの日・・・菅原さんがカンニングとノートを窃盗した冤罪をかけられてご両親と帰宅した入れ替わりで、学校に到着したの。」
「すれ違いになったのですね。」
「私が来た時点で、B組どころか、全校生徒がそのことを知っていて―――――――違和感しかなかったわ。なんていうか・・・わざと、広めているように感じたの。」
「・・・そうかもしれませんね。」
「教員室についてすぐ、校長室に呼ばれたわ。そこで校長先生から、何を直訴するつもりだったのか聞かれたの。私は正直に、1年B組の菅原凛さんはいじめの被害者です。証拠のいじめ記録ノートが計画的に盗まれたことまで話したわ。それなのに―――――」
暗い表情で一言区切ると、後藤先生は言った。


