彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






〈実はね、今日中に愛弟子を両親のもとに返さないと、愛弟子の両親が私を、愛弟子を誘拐した罪で警察に突き出すと、警察付きで迫ってきてね。若い岩倉って刑事を連れてきたんだけど、岩倉って坊やのことは知ってるかい?〉
「その警官、存じ上げてます・・・!そうですか・・・私の両親がそんなことを船越師範に言いましたか・・・」
〈正確には、道場の仕事ができないようにするって脅しだけどね。〉
「知らなかったこととはいえ、申し訳ありません・・・!」





知っているが、知らなかったという返事をする。
同時に、菅原凛のキャラらしく振舞うことにした。





「そこまで聞いた以上、船越師範にご迷惑はかけられません。両親に・・・・・会います。」
〈そうした方がいいよ。どんな結果になるか・・・想像はつくんだが、『最後のチャンス』で、菅原夫妻を試した方がいい。〉
「試す、ですか?」
〈そうだよ。ちなみに愛弟子、今どこにいるんだい?〉
「あ、えっと・・・スーパーの電話ボックスの中にいます。」
〈もしかして、テスト期間中におろした場所かね?〉
「そうです。」
〈わかった!すぐに後藤ちゃんにも連絡して、私もそっちに向かう!私達がつくまで、スーパーの中のサービスカウンターの側にいな!知らない人について行くんじゃないよ!?〉
「わ、わかりました。」
〈急いで行くからね!!〉
「安全に気をつけて、お越しになるのをお待ちしています。」
〈ホホホ!ありがとうよ!あとでね!〉





そこで電話は終了した。
受話器を置きながら考える。





(・・・・・・後藤先生も来るのか。)





自分のことばかりで、記憶の片隅に言っていたが、後藤先生は大丈夫なのだろうか?

てか、今日は学校がある日だよね?



(まさか、私のために休んでくれたの!?)



それとも、学校を休むほど重傷だったの!?



不安な気持ちで電話ボックスから出る。
船越師範の指示に従い、スーパー内に入り、人目のあるサービスカウンターそばの椅子にこしかけて、大人2人の到着を待つのだった。