彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






(俺に弱みを見せるってことは、それだけ俺を信頼してくれてるんだろうけど―――――)



このままでいいのか?



(考えてみりゃ、俺は凛のこと、どこまで知ってる?)





生活保護の家庭で生きてる、両親から大事にされず、学校でいじめられてることしか知らない。





(・・・・・・・・いじめ、か。)

いじめ・・・。

(凛がいじめられてるとか・・・龍星軍の凛道蓮をいじめるって、ありえることなのか・・・?)

もしかしたら凛は――――――――

(学校では、シルキロールをしてないのかもしれない。)



基本、凛は顔を隠したがる。隠している。





(けど、『凛道』なんて珍しい苗字・・・普通に龍星軍の4代目総長だとわかりそうだが―――――――)





そう思った時に、わき起こった1つの可能性。





(凛は、偽名を俺らに使ってるのかもしれない・・・。)





学校ではシルキロールを外した本名で、俺といる時はシルキロールをつけた偽名で、過ごしているかもしれない・・・。





(調べるか?)





一瞬そう思ったが―――――





(やめよう。)





身元調査の実行をしないと決める。
秋篠宮家が眞子の旦那の身元調査をしなかった結果、日本中を巻き込んで大騒ぎになった悪しき前例を知らないわけじゃない。
ただ俺と凛の場合は、税金を使われる関係じゃない。
凛が俺を探していたのは、俺を必要として、俺にもう一度会いたかったという純粋な気持ちからだ。
なによりも―――――――――





(凛が俺を信頼してくれてるなら、凛が自分から話してくれるまで待った方がいい。)





特に今は、凛の精神が不安定だ。
そんな時に、根掘り葉掘り聞かない方がいい。
むしろ、秋篠宮文仁と文仁親王妃紀子は、娘の眞子ために根掘り葉掘り聞くべきだったけどな。
馬鹿皇族。





(そんな馬鹿と俺は親戚かと思うと情けなくなるぜ。)





あーあ、とつぶやきながら背伸びする。
そしてスマホを取り出し、凛からのLINEをチェックする。
俺が送ったスタンプに既読がついてるだけで、メッセージは何も来ていない。






「・・・・・・凛を信じて帰りを待つか。」





そう決めると、俺は店舗兼自宅へと足を向けるのだった。












~悪意の贈り物!?試される親子の絆!!~完~