「・・・おはようございます、いつぞやのご婦人。こんな朝早くから、お散歩とは健康的でいいですね。」
「健康寿命を延ばしたいからね。どうだい?せっかくだから、一緒にそこら辺を歩かないかい?」
「いえ、朝食の支度で忙しいので遠慮します。」
「愛弟子だったら、付き合ってくれるんだけどね。」
「では、愛弟子さんを誘えばいいじゃないですか」
「誘ってるけど、今朝は答えてくれなくてね。」
(船越師範め・・・いつまで引っ張る気だ!?)
いい加減、やり取りするのが嫌になったので、切り上げようとしたのだが――――――
「どうした凛?」
「瑞希お兄ちゃん!?」
好きな人が現れたことでタイミングを失う。
「なかなか帰って来ないから来てみれば・・・・・知り合いか?」
船越師範と私を交互に見ながら聞いてくる好きな人。
「瑞希お兄ちゃん、この人――――――」
「この子がね、私を家まで送ってくれるって言うんですよ。」
「「はい?」」
(突然、何を言い出すんだ船越師範!?)
「そうなのか、凛?」
「いえ、僕は―――――――!」
「私の愛弟子の話をしていたら盛り上がってしまって。どうかしら・・・真田瑞希さんも、私の愛弟子の話を聞きますか?」
「は?ばあちゃんの愛弟子の話~??」
「わあああああああ!!」
(ホント、なに言い出すんだ、船越師範!!)
これ以上瑞希お兄ちゃんの視界においていたら、菅原凛=凛道蓮だとばらされかねない。
「お、お兄ちゃん!!瑞希お兄ちゃん!僕ちょっと、ご婦人を送り届けてきますね!!」
「はあ!?今からか?もう朝飯できてるぞ?せっかくだから、一緒に食べ―――」
「ご婦人とご飯を食べる約束をしたパートナーが、家で待ってるそうなのです!!すぐに帰りますから!!行かせて下さい!!」
「頼むよ~家まで送っておくれよ~」
「・・・・・わかった。」
けげんそうな顔をしつつも、納得してくれた瑞希お兄ちゃん。
「じゃあ、さっさと行って、さっさと帰って来いよ?」
「もちろんです!!さあ、行きましょう、ご婦人!!」
「おや、エスコートしてくれるのかい?本当に凛道蓮君は優しいね~」
「恐縮です~」
瑞希お兄ちゃんの手前、笑顔で対応しながら思う。
(何企んでるんだ、船越師範は!?)
お店から離れながら、悶々とした気持ちになる。
船越師範と並んで歩く。
先手必勝とばかりに、船越師範に仕掛けた。


