彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




もうここにはいたくない。
こんな病院、渕上ルノアが入院する場所に、一秒たりともいたくない。
そんな思いでひたすら病院の通路を走った。
途中で看護師に、「病院で走らないで下さい!」と言われたけど、無視した。





(これが悔し泣きなのか・・・・!!)





初めて経験する屈辱に、心が悲鳴を上げていた。
病院の外に出た時、冷たい風が全員に当たる。
それで一層惨めな気持ちになったが、かまわず走っていたら――――――――





「凛っ!!」





聞きなれた声がした。
思わず体の動きが止まる。





「凛!探したで!!凛っ!!」
「やまとぉ・・・!!」





単車を路肩に止め、こっちへ向かってくる大親友だった。





「やまとぉ!!」





私は迷わずヤマトに抱き着いた。





「凛!?」
「うわあああああああああああ!!!」
「凛っ!?凛!ああ、凛!!大丈夫や!!怖い思いしたやろう!?わしが来たから、もう大丈夫やで!?大丈夫や!!よしよしよし!!」
「くやしいよぉ!!痛かったよぉ!!憎いよぉ!!憎い!!渕上ルノアだけじゃない!!お母さんも、お父さんも、渕上の母親も、渕上の弁護士も、岩倉も―――――殺してやる!!」
「!?凛・・・なにがあったんや!?顔中あざだらけやないか!?」
「ひっく、ひっく、ひっく!や、や、やまと、私が渕上ルノアのワナに、はまったから、来てくれたんでしょう!?」
「渕上ルノアのワナ、やと!?」
「違うの!?」





それで抱き着いているヤマトの身体が硬直するのがわかった。





(嫌な予感・・・。)

「ヤマト・・・・なにがあったの・・・?」

「・・・。」





めずらしく押し黙るヤマト。
しかし、意を決したように私を抱き寄せると言った。





「凛、目には目を!!歯には歯を!!毒には毒や!!今から凛に、毒を食らわせる!そんでもって、渕上ルノアの毒を消す!!けど――――――――」





一呼吸おいてから、ヤマトは告げる。