「警察官の岩倉さんの同席をお願いします。」
「ルノアお嬢様。」
(悪霊!!)
言ったのは、渕上ルノアだった。
「私、本来なら立ち会いたいですが、凛ちゃんに階段から突き落とされた痛みで動けません。」
「渕上さん、まだそんな嘘をつくのですか!?」
「黙りなさい凛!!」
バシ!
「っ!?」
反論すれば、お母さんからの平手が飛んできた。
そんな私の姿を見て、周りにわからないように、うっすらと笑う渕上ルノア。
そちらに文句を言う前に、渕上が会話をぶち込んできた。
「ここで、私が信用できる渕上家の者以外の大人は、岩倉さんしかいません。ですから、渕上家と菅原家の話し合いに、私の代わりに出席してほしいです。いいですよね、岩倉さん、田所弁護士。」
「もちろんですよ!正義の鉄槌を食らわせるから、安心して下さいね、愛紗さん!!」
「お嬢様がそこまでおっしゃるなら・・・・奥様に、LINEで確認してみます。」
乗り気な岩倉と、スマホを取り出して画面をタッチし始める弁護士。
最初に口を開いたのは、田所弁護士だった。
「ミテコ奥様からの許可が下りました。ミテコ奥様の方から、警視庁長官にもお願いをして許可が出たそうなので、岩倉刑事、話し合いへの同席をよろしくお願いします。」
「「「警視庁菅が許可を!?」」」
お父さんとお母さんと岩倉が声をそろえて叫ぶ。
岩倉は歓喜の声で、両親はおびえた声だった。
「では、警察立会いの下で話し合いをさせて頂きます。場所を移動しましょう。」
「待ってくれ!岩倉1人じゃ、部下だけ話し合いに行かせて、上司の俺が知らん顔をするわけにはいかない!!俺の同席も許可してもらえないか、渕上ミテコさんに掛け合ってくれないか、田所弁護士!!」
「バラさん!?やっと、やる気出してくれたんですかー!?」
「頼むよ、田所弁護士!!」
「少々お待ちを。」
そう言って、しばらくスマホ画面を触っていた田所弁護士。
その動きが止まった時、彼は言った。
「フジバラ刑事の同席許可も出ました。条件付きですけど。」
「どんな条件だ?」
「部下の岩倉さんの発言に従うこと、です。」
「・・・・・善処する。」
「合意して下さい。善処では言葉が足りません。」
「わかったよ!!合意する!!」
「よろしいです。それではルノアお嬢様、行ってまいります。」
「田所さん、私のためにありがとうございます。」
「いいのですよ。正しい行いをする人は、必ず報われなければいけませんからね。」
(ぜひそうであってほしいぜ!!)
私を皮肉るように言う弁護士に、私も心の中で皮肉り返した。


