彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






「お母さんはあなたの味方よ、ルノア。今回のことは社会勉強だと思って忘れない。」
「・・・はい、お母さん。」
「もう少し側にいてあげたいけど、現場に無理を言って抜けてきたから、帰らせて頂戴ね?」
「わかってるよ、お母さん。私のために無理してきてくれたことが嬉しいよ。大好き♪」





そう言って抱きつく娘を、母親は愛おしそうに抱きしめる。



(こんなムナクソ悪い茶番劇、初めてだわ!!)



「それじゃあ、お母さん帰るけど、後のことは頼みますね、さやかちゃん、めぐみちゃん。」
「「はい、ミテコお母様!」」
「田所、渕上家の方々への対応、任せますね。」





その言葉で、私を病室に招き入れたメガネの男性が頭を下げる。





「かしこまりました。」
「ではみなさん、ごきげんよう。」





そう言うと、優雅な動作で別途腰を上げる渕上ルノアの母。





「「申し訳ありませんでした!!」」





3度目の土下座をする両親の間で、仁王立ちして渕上の母親をにらむ私。
そんな私を見ることなく、渕上の母親は―――――――――





ダン!!

「痛い!?」





ヒールのかかとで、思いっきり私の片足を踏んだ。





「なにするんですか!?」
「!?やめなさい、凛!!」
「足を踏まれるマネをしたお前が悪い、凛!!」





食ってかかろうとした私を、両親が2人がかりで止める。
そんな私たち親子を気に留めることもなく、何事もなかったかのようにゆっくりと振り返りながら言った。





「ルノアちゃん、ゆっくり休んでちょうだいね?」
「はい、お母さん。」
「またね、ルノアちゃん。警察の方々も・・・・特に岩倉さん、ありがとうございました。これからも娘のことで、頼らせて下さいね。」
「もちろんです!!」
「おい岩倉!!」
「改めまして、ごきげんよう。」





そう言い残すと、メガネの男性がサッと病室のドアを開ける。
すると、いつの間にか外にいた数人の男性たちに、守るように囲まれ、そのまま病室から立ち去る渕上の母親。
ほどなくして、姫月ミテコのためにドアを開けたメガネの男性が病室のドアを閉める。
そして、コツコツと靴を鳴らしながら私たち親子に近づくと、お父さんの方に名刺を差し出しながら言った。