彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)






狭い個室で、私はそいつと向き合って座っていた。





「また会ったね。菅原凛さん?いや・・・菅原凛被告、かな。」


(岩倉・・・。)





レイプ未遂にあって以来の再会。
岩倉が私を見る目は冷たかった。





「君さ、姫月愛紗ちゃんをいじめて楽しいの?」
「姫月愛紗はいじめっ子のボスです。」
「その妄想、いい加減にしなよ?」
「あなたこそ、渕上さんを芸名で呼ぶなんて・・・ファンだから、可愛い愛紗ちゃんに有利な捜査をしてると誤解されますよ。」
「いい加減にしろコラ!!」

ガン!!





怒鳴りつけるなり、目の前の机を蹴る岩倉。
それで机が私に当たったが、もはや痛いと声を出す気もない。





(なんでこんなことになったのよ・・・・・・・!?)





今日、後藤先生と船越師範が菅原凛のいじめについて、あゆみが丘学園の校長に直訴しに行くことになっていた。
ところが登校直前の今朝、後藤先生が襲われ、後藤先生に託していた菅原凛のいじめノートが奪われた。
船越師範の推理では、奪ったのはプロの仕事人を雇った渕上ルノアの仕業。
通報した警察幹部の1人があてにならず、いじめの告発は先送りになったところで、投稿早々カンニングとノート盗難の冤罪をかけられた。
初めから犯人と決め付けられ、担任の井谷に暴力を振るわれ、両親も娘の菅原凛を使用しないまま帰宅し、自宅で暴行を加えてきた。
そこへ菅原凛を助けるためにきたという渕上ルノアと取り巻きの難波と鳥海がやって来て、渕上は勝手に菅原凛の部屋に行こうとした。
それを止めようとしたところ、突然渕上は、菅原凛が何もしていないのに、痛い、やめて、助けてと叫んで自分から階段下へ飛び込んで落ちた。
階段下で、落ちる渕上が瞬間だけを見ていた菅原凛の母親が、娘の凛が渕上ルノアを突き落としたと勘違いした。





結果、菅原凛の母親が救急車を、難波が警察を呼び、鳥海が渕上の親に電話して―――――――今現在、渕上ルノアひいきの警察官・岩倉の取り調べを菅原凛は受けていた。





(思い返せば・・・午前中だけで、どんだけ不運に見舞われてるのよ・・・。)

バン!!

「おい、聞いてるのかオオカミ少女!?」





回想する私を現実に引き戻したのは、若い刑事の偉そうな声とその男が出した騒音。
テーブルを叩くと、私を至近距離でにらみつけながら、岩倉は言い放った。





「渕上ルノアさんへの暴行を認めるな?」
「私は渕上ルノアさんに暴行していません。」
「恩知らずに磨きがかかって、大嘘つきにもなったのか!?さすがオオカミ少女だな!!」
「渕上ルノアさんの演技に、現役警察官が騙されていることに、お悔やみ申し上げます。」
「大人を馬鹿にするなよ!!」

バン!!





再度、机をたたき、耳元で大声を出す岩倉。





「刑務所にぶち込んでやろうか!?」
「少年院じゃないのですか?」
「あれだけの悪事を働いておいて、よく平然としてられるな!?さすが、ネットの知恵袋を使ってカンニングし、同級生のノートを盗んだだけのことはある!!オオカミ少女の名前以上の、将来は刑務所にはいる犯罪者予備軍だな!!」
「私は、カンニングもしてませんし、同級生の授業ノートも盗んでいません。少し、落ち着いたらどうですか?悪女の味方をする悪徳おまわりさん?」
「いい加減にしろよ!!」

グイ!





目を血走らせた岩倉が私の胸倉をつかんで引き寄せる。