「落ち着きなよ、凛ちゃん。」
「深呼吸して話そうよ、凛ちゃん。」
「黙れ!!あなた達のおもちゃになるのはもうたくさん!!」
「凛!どこまで被害妄想を広げれば気がすむの!!」
「すまない!渕上さん、鳥海さん、難波さん!親である私達の育て方が悪かったばかりに、迷惑をかけてしまって!!」
「私は迷惑かけてない!!」
「まだ言うのか!!」
真っ赤な顔をして、振り上げた父の手を、
ガシ!
「やめて下さい!!」
渕上が握りしめて動きを止めた。
「渕上さん!?バカ娘をかばうのか!?」
「凛ちゃんはバカなんかじゃないです!きっと、心が不安定になって、ありもしない現実を妄想してしまうような悩みを抱えているだけだと思うんですよ。」
(ありもしない現実、だと・・・!?)
「私、校長先生に直談判したんです!凛ちゃんの停学を取り消して下さる様に!」
「なっ・・・!?」
「なんだって!?」
「なんですって!?」
渕上ルノアの言葉に、私はもちろん、お父さんもお母さんも声を上げる。
「ルノアちゃんが、凛の停学を取り下げるようにお願いしてくれたの!?」
「そうなんですよー!フッチー、凛ちゃんのために、みんなの前で土下座したんですよ!?」
「ルノアちゃんが土下座!?」
「凛のために土下座をしてくれたのかい!?」
(大ウソだ!!ありえない!!)
いじめっ子達が嘘をついているとすぐにわかった。
あまりの白々しいウソに開いた口が塞がらないでいる私の前で、更なる嘘をいじめっ子達は重ねる。
「それだけじゃないですよ!!全校生徒の署名を集めたんです!!ほら、ルノア!」
「う、うん!」
おずおずと、しおらしくカバンを開けると、歪んでいるノートを1冊取り出す。
「私を含めた署名が、ここに記されています。」
そう言って差し出したゆがんでいるノートを、両親は素早く受け取る。
「あ、あなた!」
「ああ・・・ああ・・・なんてことだ・・・!」
(なに、その顔・・・!?)
どうして、お母さんも、お父さんも涙ぐんでるの?
なんで、感動してるような表情になってるの?
なぜ、そんな・・・・!?
「ルノアちゃん・・・うちのバカ娘は、ルノアちゃんをいじめていたのでしょう?なのにどうして、ここまで優しく出来るの?」
「俺がルノアちゃんの立場だったら、ここまで慈悲深いことはできない!!どうしてそんなに優しくて心がキレイなんだ・・・!?」
完全に、渕上ルノア達を信じきってしまっている両親。
そんな菅原夫婦の問いに、渕上ルノアは姫月愛紗の表情で答えた。


