彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)

「お父さん、夜食、早めにお願いしてもいい?」
「いいぞ!凛が望むなら、早く用意しよう!」
「凛、お父さんに気を遣わなくていいのよ!?凛の勉強スタイルを崩すようなことはしないで!」
「お前いい加減にしろよ!?」
「やめて!気を遣ってないから!今日は、口さみしい気分なの!」
「聞いたか!凛の言葉を!?」
「フン!凛がそう言うなら、今日は早めの夜食にしていいわ。」
「ありがとう、お母さん!お父さん、私、梅のおにぎりがいい!」
「わかった!梅だな!?任せとけ!」
「凛のために、ちゃんとのりも巻いてよ?」
「わかってるって!」



何とか収まった喧嘩に、安堵する私。
両親ともに、教育熱心のため、いつもこんな風にケンカになる。
私が間に入ることで、いつも両親のケンカを止めている。
いつも私の意見が反映されないのは嫌だけど、ケンカが激化するよりマシだ。





(親ガチャ失敗した。産まれてくるところを間違えた。)





心の中で愚痴りながら、お母さんが用意してくれた豚の生姜焼きを口にした時だった。



「凛、またお友達の家で、泊りで勉強会をするの?」
「え!?そうだけど・・・。」

本当はしてない。

してないけど、ウソをつく。

「凛、こんなことは言いたくないけど―――――――――」



それに母親は、嫌そうな顔で私に言ってきた。





「外泊が多すぎない?」
「!?」





その言葉で、食事をする動きが止まりそうになる。
そこを何とか我慢し、自然にふるまいながら返事をした。





「・・・そうかな?私はそうは思わないよ。」
「お母さん心配なのよ。勉強ができない子達に、頭のいい凛が利用されてるんじゃないかって。」
「心配し過ぎだよ、お母さん。私を利用しようとする友達なんていないよ。」
そもそも、『菅原凛』に友達なんていない。
そんなこと、お母さんにも、お父さんにも言えないけど、とにかく誤魔化す。
「心配しなくても、成績を下げるようなことはしないよ。」
「当たり前でしょう?成績が下がったら、外泊の勉強会はやめてもらうからね。」
「そもそも、凛が教える立場なら、相手からうちに来るべきじゃないか?」
「やめてよあなた!タダ飯を用意する真似なんてさせないで!」
「あ、それもそうだな。凛より頭の悪い奴に、ごちそうをしてやる必要はないか。」
「・・・一緒に勉強してるのは、成績が同じぐらいな子ばかりだよ。」





聞くに堪えなくなり、ウソをはく。
そのウソに両親はかみついてきた。