彼は高嶺のヤンキー様11(元ヤン)




あゆみが丘公園で、後藤先生と船越師範と伊藤巡査と別れた。
迅速に被害届や調書を作りたいからと、迷惑そうにする長山巡査部長を伊藤巡査が押し切り、ケガをしている後藤先生と無傷の船越師範をパトカーに乗せ、そのまま4人は病院へ向かった。
最後まで、長山巡査部長に嫌悪感しかなかったけど、どこの職場でも嫌な奴の1人はいる。
学校でも、塾でもいたのだから、社会人になっても、自分と気が合わない・・・というか、非常識な奴はいる。





(だから、大人になっても、大人の世界でも、いじめはなくならない。)





いじめは、子供のうちだけの問題じゃない。

生徒同士のいじめもあれば、教師同士のいじめもある。

先輩後輩とのいじめはもちろん、保護者同士のいじめもある。

時には生徒が教師をいじめ、教師が生徒をいじめる。

年下が年上をいじめ、年上が年下をいじめることもある。





(いじめは犯罪だ。)





おしおきとか、冗談や、遊びで済ませて良いものじゃない。





(だから、いじめ犯罪をなくしていく努力をしなければならない。)





そのはずだったけど――――――――





(私のいじめ解決への道が、一歩、遠ざかった・・・。)





味方が乗るパトカーを見送りながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。
後藤先生は、学校に遅刻の連絡をした。
途中で何故か、長山巡査部長が後藤先生のスマホを取り上げ、学校側と話をしていた。
電話も長山が一方的に切り、ニヤニヤしながら後藤先生にスマホを返す。
そのスマホを素早く船越師範が取り上げると、除菌シートできれいに後藤先生のスマホを磨いてくれた。
目の前でそれをされた長山は怒ったが、逆に後藤先生から、勝手なことをしないで下さいと言われ、ぶつぶつ言いながら口をつぐんでいた。





(あれ、絶対にセクハラだよな?)





よし、凛道蓮になったら、真っ先に長山のことを調べよう。
必要とあれば、獅子島さんに教えを乞い、長山を無職にしよう。
瑞希お兄ちゃんに頼るより、獅子島さんに頼った方が、無残な人生贈れるはずだ。



〔★凛は相当怒っている★〕