「捕まえられる保証がないって、どういうつもりだい!?」
「だからねーこの場合、確実に捕まえられる保証がないって言ってるんですよ。」
「長山先輩!?」
言ったのは、伊藤巡査と一緒にいた年配の警察官。
私達を見渡した後で言い放った。
「時間帯はこんな早朝で目撃者も身内意外いない。ケガをされたのはお気の毒だけど、見つかる可能性は低いですよ~」
「ちょっと!長山先輩!なんで被害者を不安にさせることを言うんですか!?」
「何言ってんだ。最悪の事態も想定してもらわなきゃいけないから、親切で言ってるんだろう?」
「親切だって!!?」
長山という刑事の言葉に、渕上師範が声を荒げる。
「あんた!いい方ってもんがあるだろう!?今すぐ所属と階級とフルネームを教えなさい!!」
「ちょっとちょっと、短気を起こさないで下さいよ~とりあえず、被害者女性を病院へ連れて行かなきゃ!ねぇ君、立てるかな?手を貸そうか?」
ニヤニヤしながら言うと、いやらしい手つきで後藤先生に触ってくる。
「け、結構です!1人で立てます!」
その手を振り払えば、ムッとする長山という警察官。
「そうみたいですね~ケガの割には元気ですね~」
(な!?)
なんてデリカシーのないこと言うの!?
「後藤先生は元気なんかじゃないです!!」
感情的になり、気づけば怒鳴っていた。
「顔がはれて!!よく見れば、手足にも擦り傷を作ってるのに、元気なわけないじゃないですか!?今はアドレナリンの左様で、痛みがないかもしれませんが、もしかしたら、骨が折れてるかもしれないのですよ!?言葉に責任もって発言して下さい!」
そう伝えれば、あからさまにムスッとした顔になる長山という警官。
「さあ、後藤先生!私が肩を貸します!病院へ行って、診断書を撮って、被害届を出しましょう!」
「菅原さん・・・あなたが一番つらいのに・・・ごめんなさいね・・・!」
「本当だね~とてもいじめの被害者とは思えないよ!」
「「なっ!?」」
「長山先輩!?」
「なんと言った貴様!?」
予想外の言葉をかけられ、唖然としていれば、言った本人は持論を展開した。


